今年からはじまったNISA(少額投資非課税制度)。みなさんは、すでに口座を開設して、運用をスタートしましたか?
金融機関は各社ともにNISA口座を開設してもらうためにさまざまなPRをしています。野村証券のTVコマーシャルなどは、「田中さんも非課税。佐藤さんも非課税。…深堀さんも非課税…」という爽やかな映像を流していますね。
「こんな宣伝方法もあったのか」と目からウロコが落ちる思い。ただ単に制度の宣伝だけで、野村證券の独自商品の宣伝ではありませんから。この調子でいくのなら、銀行が住宅ローンを組んでもらうために、「田中さんも減税、佐藤さんも減税。…深堀さんも減税…」と、住宅ローン減税制度のPRをしてみいいかもしれません。
ハウスメーカーであれば、「田中さんは30万円、佐藤さんは20万円、…深堀さんは10万円…」。これは「住まい給付金」をPRすることで、住宅の取得を促進させる作戦です。ただ、住まい給付金は所得によって給付額が変わるので、こんな宣伝をすると、田中さんの収入が少ないことがバレてしまいます。
さて、本題に戻ります。
3月5日の日経新聞によると、NISA口座を開設した人のうち、69%が「日本の個別株式に投資をしたい」と考えているようです。第二位が「ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)」で32%。次いで「インデックス投信」の22%。そして、開設者の3割は、2月上旬までに投資済だといいます。今年の非課税枠の投資資金100万円を、もう使い切っている方も多いとか。
SBI証券は、自社のNISAでの個別株式人気ランキングを週刊でWebで公表していますね。3/17~3/20までの保有残高ランキングをみると次の通りです。
2位:キヤノン
3位:みずほフィナンシャル・グループ
4位:イオン
5位:三菱商事
6位:NTTドコモ
7位:三菱UFJフィナンシャル・グループ
8位:トヨタ自動車
9位:ソフトバンク
10位:三井物産
日本を代表する安定的な銘柄ばかりです。また、「高配当」もキーワードになりそうです。
ところで、NISA口座で高配当銘柄に投資をして、配当金を非課税で手に入れようとしても、配当金の受け取り方法を、従来からの「郵便局に領収証を持って行くやり方」の場合、非課税にはなりませんので、要注意です! 「株式数比例配分方式」という受け取り方法に変えておかないとだめです! せっかくNISA口座を作ったのですから、非課税メリットを享受するためには、くれぐれも注意してください。
「田中さんも株式数比例配分方式、佐藤さんも株式数比例配分方式。…深堀さんも株式数比例配分方式…」金融機関は、口座開設から商品購入を促すための広告宣伝は熱心ですが、そのあとは、さっぱり力を入れません。株式数比例配分方式のPRは、ぜひ、金融庁にお願いしたい。(執筆者:中村 宏)