「消費者教育」をご存知でしょうか。消費者教育推進法によると、消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓発活動と定義されています。たとえば、自分の目先の利益だけでなく、環境に配慮したり、生涯計画と絡めて考えたりするよう年代別に教えることです。
これまでの消費者教育では、自己防衛が中心的テーマでしたので、適切な選択ができるようになることを目指す点が大きな変化といえます。また、お金に関する内容が盛り込まれており「金融経済教育」の重要性も訴えられています。
この点に関して、アルバイトや一人暮らし、就職活動などを行う大学生に対するマネー教育は必要だという考えが盛り上がっています。年代別に何を教えるべきかという指針は消費者教育推進会議などで取り上げられていますが、彼らに特に優先して教えるべき点は次の3つでしょう。
目次
1. 金融商品との関わり方
高利回りを謳う金融商品を紹介・販売されたことがある学生に出会うことは珍しくありません。
しかし、金利や支払手数料に馴染みがないため、常識では考えられない高利回り・高額な手数料に対しても「大人ならばこういったものでお金をふやしている」と素直に考えてしまうのです。なかには、まずは契約書にサインだけさせて、商品に関する詳細な資料は後日送付するという説明を行われたケースに出くわしたこともあります。
このようなとき、安易に契約・購入してしまわないよう大学生に教えるならば、こういったトラブルに巻き込まれることも避けられるでしょう。
2. クレジットカードやキャッシングとの付き合い方
クレジットカード利用に慣れてくると、身の丈以上の買い物をしてしまうことがあります。そして気づいたときには、アルバイト代や仕送り、奨学金のほとんどがクレジットカードの引き落としで無くなってしまうのです。
こうなったとき、リボ払いの利用を開始するケースもありますが、内容を理解したうえで申し込む学生はどれほどいるでしょうか。また、キャッシングやカードローンにも触れる必要があります。現在、大手銀行の商品でも学生が利用できるものはすぐに見つかります。
どうしてもお金を借りなければいけないことはあるでしょうが、安易な借り入れを避けるためには、「なぜ借りる必要が生じたのか」、「他社から借り入れをせずに返済できるのか」、「毎日のお金のやりくりで見直すべき点はどこか」を考慮すべきだと伝えましょう。軽い気持ちで借りる癖がついてしまうことを避けるのです。
3. 基本的な経済の仕組み
消費者教育では、「賢い消費者」になることが目的の一つとして掲げられています。これを実現するうえで、世の中の仕組み、特に経済について理解することは必須です。
もちろん、経済学部以外の学生にとっては難しく感じるでしょう。しかし、経済やお金に関する授業が後回しにされている日本では、為替や物価、金利など基本的な経済の仕組みを一律に教えられるラストチャンスが大学だと言えます。
社会人になってからお金のことを学ぼうとすると、金融機関がスポンサーとなっていたり、特定の金融商品を勧められたりすることが多くなってしまうのです。
消費者教育の具体化は今後ますます進みますが、マネー面に関してはこの3点について教えることは欠かせないでしょう。