目次
1. 増えた残業代どうしていますか?
今月はプロジェクトの追い込みで、とか決算作業があってなど月によって残業が増えるときもあるかと思います。残業が増えると心身の健康に注意しなければいけませんが、一方で残業代が増えてうれしいこともありますね。
皆さんは増えた残業代をどうしているでしょうか。臨時収入としてついつい全額を買物や飲食、レジャーなどに使ってしまっている場合も多いかと思います。しかし、増えた残業代の中には使ってしまってはいけない部分もあることをご存知でしょうか。
2. 住民税
所得税は残業代が増えた月にその増えた収入について源泉徴収されますので、手取り額は所得税の納税がほぼ済んでいることになります。一方、住民税は当年分の所得に対して翌年の6月に確定税額の通知が来て、翌々年の5月までの1年間に月割りで給与から徴収されます。
つまり、住民税は残業代が増えた月ではその増えた収入についての税額はまだ徴収されておらず、翌年6月以降に徴収されることになります。増えた残業代を全額使ってしまうと、貯蓄が増えないどころか翌年以降の貯蓄の取り崩し要因にもなってしまいます。
3. 厚生年金保険料・健康保険料
厚生年金保険料・健康保険料は標準報酬月額によって保険料が決められています。標準報酬月額は毎年4月、5月、6月の給与等の平均額によって決定されます。この給与等には残業代も含まれてきます。したがって、4月~6月に残業代が増えると額によっては標準報酬月額に反映されることになります。
このほか、固定的賃金が増額になった場合にはその増額後3ヶ月間の給与等の平均額が一定の増額に該当する場合には標準報酬月額が改定されます。この給与等にも残業代が含まれますので、この期間に残業代が増えると額によっては標準報酬月額に反映されることになります。
このように残業代が増えるとそのタイミングや額によってはその後厚生年金保険料・健康保険料が増えることになります。この場合も増えた残業代を全額使ってしまうと増えた保険料を払うために貯蓄を取り崩すということになってしまいます。厚生年金保険料は増えることによって将来の年金の受取額が増えるということはありますが、目先は支払が増えるということです。
4. 結論
増えた残業代の中には使ってしまってはいけない部分(住民税、場合によっては厚生年金保険料・健康保険料)がありますので、臨時収入として安易に使ってしまってはいけません。心身の健康回復に使う以外はできるだけ貯蓄に回すようにしましょう。(執筆者:犬山 忠宏)