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個人年金保険とは
個人年金保険は、ご存知の方が多いと思いますが、民間の保険会社が販売している金融商品です。近年、公的年金への不安が高まっている中、加入者が増加しています。
保険料払込期間中に死亡しても、遺族には死亡保険金が支払われます。こちらは、一般の終身保険や定期保険の一般生命保険料控除とは別枠で、個人年金保険料控除として、所得税で年間40,000円・住民税で年間28,000円の控除を受けることができます。
確定拠出年金(日本版401k)とは
確定拠出年金は、拠出された掛金が、掛金と運用収益の合計で年金給付額が決定される制度です。
平成13年10月から公的年金に上乗せされる部分として、スタートしました。企業型と個人型(図を参照)があり、全額が小規模企業共済掛金等控除の対象となっています。運用商品の中から加入者自ら運用指図します。つまり、厚生年金基金や適格退職年金のように給付額が約束されているわけではありません。リスクは、加入者自らが負うことになります。
どっちがお得か?
税金面から考える
まず、税金面での効果を考慮すると、確定拠出年金は小規模企業共済掛金等控除の所得税・住民税の面での優遇に加えて、株などで運用する時のような運用益に対しても税金はかかりません。さらに、60歳時に受け取る一時金は、退職所得控除の対象になるので、3重に有利だと言われています。
一方、個人年金保険は最高裁の判決でいわゆる二重課税がなくなり、追い風が吹いています。確定拠出年金と違い、リスクをとる必要はなく、給付額が保障されています。死亡保険金としても、相続税の生命保険非課税控除枠も使えるのもメリットです。老後の資金計画を立てやすくなります。
それぞれのデメリットも知っておこう
確定拠出年金は、税制面で3重に有利と言っても、管理手数料が取られ、まだまだ選択できる運用商品が少ないという課題があります。金融教育も義務付けられており、情報面や経験面での個人差も心配されます。金融教育が不十分なら、ポートフォリオが100%近く定期預金タイプの商品なら意味がありません。本当なら必要なはずの自営業者の認知度が低く、公務員や専業主婦は加入できません。
個人年金保険は、安全な金融商品ですが、他の保険や普通預金・定期預金同様にインフレに弱いという特徴があります。確定拠出年金は、そういう意味ではインフレ対策になりますが、個人年金保険にはその機能がありません。他の保険同様に、子育て世代で貯蓄が必要な時期に保険料に取られてしまうということにもなりかねません。
確定拠出年金は、月々の保険料を既定の範囲内で選択できるので、貯蓄計画が立てやすくなっています。現在のキャッシュフローと老後のキャッシュフローを両方見たうえで、個人年金保険と確定拠出年金を判断することが望ましいです。(執筆者:森 泰隆)