金融教育を受けていない私たちは、マネー市場では明らかにカモ。未公開株詐欺や先物取引などの金融商品不理解から生じる思わぬ損失は後を絶たず。その他にも、気がつかないまま損を強いられていることが往々にしてあります。どのようなものがあるのか身近な例でみていきましょう。
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友達・知り合いは高くつく
事例1
Aさんはお友達のBさんが勤める保険会社を変わるたびに、保険を加入し直していました。Aさん曰く、Bさんからより良い保険を持ってきた。という説明を受けていたそうです。
しかし、加入し直すたびにAさんの年齢は高くなっており、保険料もその分割高に。Aさんの奥さんが、保険を見直したいと思った時にはAさんの健康状態の問題で希望に合った見直しができませんでした。
事例2
保険外交員をしているママ友のすすめで保険に加入したFさん。死亡保障、医療保障、年金保険さらには外貨建ての年金保険まで加入。保険料の支払が辛く見直したかったのですが、Fさんとの関係がこじれることを危惧。当面そのままに。
ご主人は大手企業に勤務しており、企業独自の保険組合では、高額療養給付も最高で自己負担額25,000円と手厚い待遇。もちろんFさんはそれを知りませんでした。
プロはプロでも販売のプロ
事例3
不動産会社の紹介で住宅ローンを組んだCさん。金利が低くなってきたことから、変動金利を固定金利に借り換えることに。借り換えに際して謄本をとってみると、なんと物件に根抵当権が付いている。住宅ローンを組む時に同時に作成するようにすすめられたクレジットカードのもの。Cさんはそのクレジットカード自体も作ったことを忘れており、全く使用していないとのことでした。借り換えにあたって根抵当権抹消登記分の費用が追加で必要になりました。
事例4
知り合いの業者のすすめで、住宅ローンの借り換え差額を利用して、手持ち金の支出無しで太陽光発電を設置したDさん。月々の支払額が下がったうえに、太陽光発電システムまで設置できて満足していました。それを知人のGさんに紹介した時に初めて気がついたことが。
業者の試算は借り換え時の変動金利が完済まで続くとしたもの。金利が多少でも動いたらもちろんその試算は成り立ちません。売電で得られる金額と金利変動による総返済額のアップの兼ね合いは当然ながら試算は困難です。Dさんは本当に得だったのかという疑問と、この先30年も続く返済に不安を隠せません。
欲を出すとカモられる
事例5
保険の無料相談で商品券プレゼント。早速応募して面談したGさん。丁寧で感じが良かったという理由で、ご提案の保険に加入。商品券も本当にもらえたので得したと笑顔。しかし、加入したその保険は返戻率がとても低く、100歳まで据え置いても100%に届かない設計。
死亡保障を求めたのではなく、解約返戻金を老後資金に当てようと思って加入したとのことでしたので、再度見直しをすることになりました。
事例6
テーマパークのチケットが当たる抽選ができるといわれ、アンケートに記入したHさん。テーマパークは外れたものの、キャラクターのコップをもらうことができました。その際、いろいろと話しているうちに商品の購入を決意。月々の支払いが1万円程度で、しかも余裕資金があるときに加算して返済してもOKだという便利さにその場で申込書を記入しました。
0才の我が子のために購入したのは商品代金90万弱の幼児用教材。 もともと復職する予定だったため、子供は保育園へ。ゆっくりと使う間も無く気がつけば小学生。棚にずらっと並んだ新品同様の教材をネットで売却できないか思案中です。
自分のお金を守って資産を作っていくためには、自分でマネー知識をつけていくしかありません。思うようにアップしない賃金を大切に豊かに使っていく支出力と運用力がこれからの課題となりそうです。(執筆者:大木 美子)