時価総額1.9兆円に上る企業が10月16日、東証1部上場を果たしましたね。ご存知の通り、リクルートHD(証券コード6098)です。時価総額は90年以降3番目となる大企業であり、且つ人気の高さも後押しし、今年一番注目されたIPOだったと言っても過言ではありません。
リクルートHDが上場したおかげで、多くの人が興味を持ち出したIPOという言葉。これは「新規公開株」と日本語で言うのですが、簡単に説明すると、これから上場する株式が前もって売り出され、投資家たちがその新規公開の株式を買うことをIPOと言います。では、一企業が自社株式を上場させることに何のメリットがあるのでしょうか?
◆知名度が上がる
◆厳しい上場基準を満たす会社として社会的信用が高まる
こうしたメリットの恩恵を受ければ、会社として更なる発展が望めるというわけですね。
上場後、株価が下がり損をすることも
このIPOですが、実は一個人投資家でも参加できるのをご存知でしょうか? 公開される株式を証券会社から買い(ほとんどの場合は抽選で決まり、買えない場合もある)、新規上場企業の株主となることができるのです。
新規上場する大部分の企業は将来性が高く、成長性を十分期待できる会社です。ですから、上場後の株価は見る見るうちに上がっていくとよく言われますね。そのため、ブックビルディング(公開株式の買付申込)に個人投資家が殺到します。
残念ながら、理想と現実が違うというのはよくある話です。会社としての魅力は申し分ないものの、上場時の景気が良くない、または相場動向が思わしくないなどの理由で、上場後の株価が公開価格(IPO時の売出価格)に達する前にどんどん下落していくこともあるわけです。
上場した時の株価、その後の株価が公開価格より低ければ、当然損失を被ることになります。
例えば、証券会社から『ホリマサ社が上場するので株式を買う方は申し込んで下さ~い』と言われ、『じゃあ、私は200円で1,000株買います!』と申込んだとしましょう。
抽選に当たり200円で1,000株、つまり20万円分ホリマサ社の株を買いました。上場日の初値(上場した時の初めの価格)は190円で、その後株価は上がっていくことなく、結局終値の180円で売却したとすると、損失は2万円となります。こういうことが現実に起こり得るのです。
リスクを極力抑えたIPO投資法
じゃあ、IPOには手を出さない方が無難? と思うかもしれませんね。IPO参加にはリスクがあって…という感じでここまで話してきたのに申し訳ありませんが、そうとも言い切れないんです。リスクを極力抑えたIPO投資法が一つあるんです。
アベノミクス効果が大きいのですが、今年2014年に関して言えば、現時点までのすべてのIPOに参加することでそれ相応の利益を上げられたということが証明されているのです。まずは、2014年の直近10件のIPO公開価格と初値をご覧ください。
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一番右の項目「初値売却利益」を全部足すといくらになるでしょうか? もちろん皮算用ではありますが、IPO銘柄すべて抽選で当たり100株ずつ買付け、上場日の初値で売ったとしたら、直近10件のIPO売却利益は704,400円という計算になるんです。
たまたまだと思うかもしれませんが、2014年すべてのIPO銘柄を同じように計算してみたところ、リクルートHDを含む41社の初値売却利益は、約600万円になるんです。つまり、IPOによる初値価格は公開価格より高くなる傾向があると、少なくとも2014年に関しては断定できます。
今回知ることができた、資産運用の新たな可能性としてこの方程式を覚えておいて下さい。
【証券会社を通してIPO銘柄を買う ⇒ 上場日の初値で売る】
今年もIPO予定株式が残っていますし、来年以降も必ずあるでしょう。IPOという形で株式を購入してみるのも、資産運用の有効手段となるかもしれません。(執筆者:堀 聖人)