格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、ロシアの格付けをBaa1から1段階引き下げBaa2としました。
目次
ロシア国債格下げの理由1:停滞する経済成長
格下げの最大の理由は、ウクライナ問題を引き金とした欧米からの経済制裁によって、経済成長見通しが悪化していることが理由です。
ロシアの経済成長率は、ウクライナ危機が顕在化する前の2013年第2四半期に0.8%と底を打った後、2014年第1四半期には2.0%まで回復していました。しかし、ウクライナ危機後再び0.9%(2014年第2四半期)、0.8%(2014年第3四半期)と悪化しています。
ロシア国債格下げの理由2:欧米資本の逃避
また、資本逃避による外貨準備の減少が続いていることも、格下げの要因となりました。
欧米による経済制裁によって、ロシア国内から海外への資本逃避が続き、ロシアルーブルは対ドルで史上最安値を更新し続けています。
急激なルーブル安を食い止めるべく、ロシア中央銀行は2014年初の5.5%から現在は8.0%まで利上げを行っていますが、ロシアルーブルは一向に下げ止まる気配がありません。
ロシア国債格下げの影響は?
今回のムーディーズによる格下げは、欧米資本の逃避にさらに拍車をかける可能性があります。
ただし、ムーディーズの投資適格級はBaa3までですから、今回Baa2に格下げとなっても投資適格級の下から2番目ということになります。投資不適格級へと格下げされ、ロシア国債がジャンク債となるまでには、まだ2段階の余地が残されています。
今回の格下げ自体は、「悪いニュースではあるが、想定の範囲内」といったところかもしれません。
ロシア情勢に好転の兆しも?
ロシア経済については、2014年に入ってから悪いニュースしか無いといってよい状況でした。
しかしここ数週間、ガス輸出再開でロシアとウクライナが基本合意するなど、政治面では少しずつロシアと欧米の間での歩み寄り姿勢も見え始めています。冬将軍が到来する前にロシアも矛を収めるようであれば、ロシアルーブルが反転する可能性もあるかもしれません。
余談は許しませんが、個人投資家としても注目しておきたい局面です。(提供:社債投資まとめ!)