目次
1. 生命保険料はどのように決まっているのか?
外資系保険会社が参入するまでの生保の保険料は、護送船団方式で、保険料は横並び。募集人で勝る大手生保が市場を牛耳っていた。ところが、外資系参入、生損保の相互乗り入れが可能になったあたりから、保険会社により保険料の差が出始め、ネット生保参入後は、保険会社によって保険料の差が生じてきた。
現状では同じ保障内容で、国内大手生保とネット生保では、最大2倍超の保険料の開きがあるのだ。
ではなぜ、そんなに保険料が違うのか?
その答えは、付加保険料の差である。契約者が払う保険料の内訳は、純保険料と付加保険料に分かれる。
純保険料は簡単に言うと、保険金や給付金の支払いにあてるお金のこと。これは死亡率などを割り出すための生保標準生命表をベースに、生保各社が独自の生命表を使って、確率を計算して保険料を算出している。つまり純保険料は、ベースとなるデータが同一のため、基本的にどの保険会社も大差はない。
一方、付加保険料は、会社運営にかかる経費、人件費や事務所経費などのお金のこと。この付加保険料があらかじめ保険料の中に組み込まれるため、保険会社によって大きな差が生じるのだ。
2. どれほど保険料に差が出るのか?
●20歳男性の場合
某ネット生保:約2,500円 某大手生保:約6,000円(有配当)
●30歳男性の場合
某ネット生保:約3,000円 某大手生保:約7,000円(有配当)
●40歳男性の場合
某ネット生保:約6,500円 某大手生保:約11,000円(有配当)
3. 保険会社の経費率である付加保険料率は何%なのか?
実は、ある保険会社がこの付加保険料率を公表するまで、各保険会社はひた隠しにしてきた。ある保険会社とはネット生保の先駆者であるライフネット生命。
●20歳男性の場合:26%
●30歳男性の場合:23%
●40歳男性の場合:18%
国内大手生保は付加保険料率を公に公表していないが、純保険料は保険会社により大差がないため、付加保険料率も概算で計算ができる。保険商品や年齢・性別により違うが
国内大手生保の付加保険料率は、驚くべきことに、50%~70%である。
4. 保険料のしくみを理解した上で、保険と向き合う
大手生保に加入している契約者は、保険料のうち半分以上が生保募集人が受取る報酬やその会社の運営経費に使われているという事実を理解した上で、保険と向き合う必要がある。
ただ、注意すべき点は、すべての保険商品について、ネット生保が最安値とはならないことである。例えば、掛捨ての医療保険や収入保障保険などでは、代理店販売をメインにしている保険会社の方がコストパフォーマンスが高いこともある。検討する場合は充分に比較する必要がある。(執筆者:釜口 博)