「1.15スイスショック」の興奮が少しずつ冷めてきた感のある今日この頃ですが、スイスショックから学んだ教訓、それは「取引通貨の重要性」でした。
スイス国立銀行(中央銀行にあたる)の為替政策がスイスショックの大きな要因だったわけですが、FX取引をする上でさらに考えたいのが利用するFX会社の選別です。というのも、過去のFX市場において幾度も「スイスショック」的な事が起こっていましたが、大きな要因の一つが利用するFX会社と提携するカバー先なんです。
目次
カバー先とは
FX会社というのは、必ずカバー先と提携しています。カバー先というのは、そのFX会社が提携する金融機関のことですが、なぜ提携金融機関が必要なのか簡単に触れたいと思います。
FXトレーダーは直接インターバンク市場(金融機関によって為替取引が行なわれている市場)で取引をするわけではありません。
このようにFX会社を通してトレードするのですが、言い換えると、FX会社は提携金融機関がインターバンク市場で取引している為替レートをリアルタイムで受取り、そのレートを基にFXトレーダーにレートを提供しています。そして、FXトレーダーはFX会社が提示するレートでFX取引をするのです。
ですから、FX会社が提携するカバー先によって、トレーダーが取引するレートが決まります。仮の話ですが、カバー先の金融機関が信頼性に欠ける銀行であったり、提示レートに問題があったりすると、結局はFXトレーダーに悪影響をもたらすことになってしまいます。
2009年10月、ドイツのコメルツ銀行が提示するレートが原因で、取引所取引(くりっく365)での南アフリカランド/日本円レートが瞬間的に30%下落するという “事件” が起きたのです。レート暴落によって南アフリカランドを取引していたトレーダーたちが大損失を被ったのです。この問題を引き起こしたコメルツ銀行は300万円の過怠金に加え、一部営業停止などの処分が科されました。
この問題はその他要因も絡んでいるとはいえ、カバー先であったコメルツ銀行の過失は見過ごせないと思います。
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FXトレーダーとカバー先の関係とは
この南アフリカランド暴落問題を考えると、トレーダーが利用するFX会社とそのカバー先が重要な立ち位置にいるのが分かります。そこで考えたいのが、FX会社が提携するカバー先の数です。
簡単に言うと、提携するカバー先数が多い方が有利です。
提携カバー先数が多い方が絶対有利というわけではないのですが、数が多い方がリスクを抑える効果があります。先ほど考えた、カバー先からのレート提示をもう一度考えてみましょう。
◆A銀行提示レート:1ドル100円 ⇒ FX会社提示レート1ドル101円 ⇒ FXトレーダー
FX会社は米ドルを1ドル100円で買い101円で売ることで、1円の利益計上になるというのが道理です。しかし、A銀行が上記のコメルツ銀行のように問題を起こすと、FXトレーダーに適切なレートを提示できないだけでなく、最悪FXトレーダーが損失を被ることもあり得るわけです。その問題を解決できるのが、複数のカバー先と提携しレート提示をしてもらうことです。
◆B銀行提示レート:1ドル100.5円
◆C銀行提示レート:1ドル99円
A~C銀行がレート提示し、万が一A銀行に不測の状態が生じても、BまたはC銀行提示レートを採用できますので、FXトレーダーにレートを提示できない、或いは異常なレートを提示するというリスクを避けられるのです。また、金融機関提示のレートにも若干差がありますから、FX会社にとって一番有利なレートを採用できるというメリットもあります。
当然、各金融機関の質も重要になってくるのですが、それは個人レベルで研究するのは難しい話でして。しかし、基本は提携カバー先数。多ければ多いほどFX会社とトレーダーに有利なのは確かです。
提携カバー先が多いFX会社は
参考までですが、提携カバー先が多いFX会社はこちらです。(提携金融機関数)
・FXトレード・フィナンシャル(15)
・上田ハーロー(15)
・マネースクェア・ジャパン(14)
・外為どっとコム(12)
・IG証券(12)
・FXプライム(11)
・ヒロセ通商(21)
取引高の多いFX会社とカバー先が多いFX会社の顔ぶれに大きな差があることにお気づきになった方がいるかもしれませんね。毎月の取引高が多いのは、GMOクリック証券、DMM.com証券、ワイジェイFXなど。毎月の取引高ランキングに名を連ねる常連です。(矢野経済研究所調べに基づく)
取引高が多いには理由があり、それだけ人気があるわけです。しかし、人気が高いFX会社のカバー先数が多くないからといって、リスクが高過ぎるわけではありません。質の高い金融機関を厳選して提携しているのかもしれませんし、それ以外の何かもっともな理由があるのかもしれません。
ただ、原則として覚えておきたいのは、カバー先数が多い方がリスクを抑える効果があるということです。FX会社を選別する時には是非思い出していただければと思います。(執筆者:堀 聖人)
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