目次
1. 外為法改正について
1998年の外為法改正によって、日本居住者は自由に海外で銀行口座を開設して、日本国内にある現預金を海外の銀行口座へ送金することができるようになりました。また、日本居住者が海外の金融商品を購入することも自由化されています。
日本居住者が海外の金融商品を契約した場合、日本国内から海外の金融機関への海外送金手続き時に送金目的を記入するがあり、海外で得た投資・配当収益を日本国内で確定申告する義務が生じます。こうしたルールをきちんと守っていれば、特に海外で、外国株式と外国債券を中心とした資産運用において得られるメリットは大きいと言えます。
2. 香港の金融制度
香港では、香港金融管理局(HKMA)の監督の下、額面20ドル以上の紙幣が香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行、中国銀行 の3行により発行されています。発行元の銀行によって図柄はまったく異なりますが、額面により印刷色が統一されています。10ドル紙幣と硬貨は香港政府によって発行されています。
香港ドルは1983年以降、米ドルに対するペッグ制を開始したことによって、1US$=7.8HK$でレートが固定されました。2005年からは目標相場圏制度が導入されたことにより、1US$=7.75~7.85HK$間での変動を認められました。発券銀行が香港ドルを発券する際には、相応の額の米ドルを預託する必要があるため、香港ドル紙幣の発行シェアは発券銀行の自己資金と連動する形になります。
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3. 香港の経済自由度は20年連続で世界一
米ヘリテージ財団が世界178カ国・地域を対象に実施した経済自由度指数調査において、香港は21年連続で世界一の評価を受けています。この調査は、法の支配や規制の効率性、政府の役割、市場の開放度を基準に、経済活動がどれだけ自由かを100点満点で指数化したものです。このように政府が必要以上に経済政策に関与しないレッセフェール(自由放任主義)は香港の宝と言えます。
今後も中国本土が開放すればするほど、香港は国際金融センターとしての前途が広がり、2014年に開始された上海・香港両証券取引所の相互乗り入れによって、香港の資本市場や人民元業務をますます拡大していくことが予想されます。その一方、中国本土における人民元の完全な自由化にはまだまだ長い時間を要するため、香港は引き続き中国本土に対するゲートウェイ市場としての役割を持ち続けることになるでしょう。
4. 国際金融センター香港の金融機関を活用するメリット
香港は1997年7月1日に、イギリスから中華人民共和国へ返還されたことによって、香港特別行政区政府が発足しました。香港特別行政区は中華人民共和国において省や直轄市と同等(省級)の地方行政区とされます。
しかし、返還後50年間は、いわゆる一国二制度によって、一定の自治権の付与と本土と異なる行政・法律・経済制度の維持が認められています。そのため、香港はイギリス領時代と変わらない簡素で分かり易い税制システムが維持されており、透明性・信頼性が高い法治国家となっております。
世界中の投資家が香港に集まってくる一番大きな理由は、香港の投資優遇税制にあります。個人の資産運用における投資・配当収益が非課税となり、香港在住者同士で贈与・相続を行なう場合も非課税です。
但し、日本居住者の場合、海外の投資・配当収益を日本国内で確定申告する義務があるので、注意が必要です。ご参考までに、香港の法人税率は利益に対して一律16.5%、個人所得税率は最高15%となっており、世界的に見ても競争力のある税率で、タックスヘイブン地区の一つと言われております。これだけ税率が低ければ、金融商品を作るコストも安くなるため、香港では特に外国株式と外国債券を中心とした資産運用において得られるメリットは大きいと言えます。
5. 香港の独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)について
香港の独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)から金融商品を購入するメリットについてお話させて頂きます。金融の自由化が進んだ香港では、香港の銀行窓口でも様々な金融商品を購入することができますが、銀行は例えるならば総合病院のような所で、設備は非常に立派ですが、富裕層向けプレミアサービスを除いて、待ち時間が長くて診察時間が短く、アフターフォローが弱いことがデメリットになると思います。
IFAは、例えるならば、いつでもどこでも相談できる町医者的な存在です。パソコン1台あれば、仕事はどこでもできるので、お客様のご都合に合わせて、平日夜間・週末を含めていつでもご相談に乗ることできます。また、複数の金融機関の運用プランから時間をかけてニーズに合った商品の提案し、原則として一人の担当者が満期までサポートすることが多いです。
英語が堪能な場合、香港の金融機関から直接、金融商品を購入される方もいますが、その場では契約内容を理解していたつもりでも、専門的な金融用語の意味を勘違いしていたり、担当者の異動で契約内容が分からなくなってしまうケースが多発しています。香港での資産運用は、正確に英文で金融商品の特徴を理解できる自信がない限り、日本語サポートのあるIFAを通して購入した方が無難だと思います。中長期運用が前提の個人年金・保険プランであれば、なおさら日本語サポートの有無が重要となります。
但し、運用プランの契約書など書類は全て英語で発行されますし、保有するファンド時価の確認は保険会社の英語オンラインサービスを利用して頂くことになりますので、海外での年金・保険対策プランを希望される方は、お客様サイドにおかれましても、ある程度の英語力(もしくはその意欲)とIT装備が必要となります。(執筆者:木津 英隆)