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ROEとは?
最近、株式投資を始められるお客さんが多くなってきた。NISAなどに代表される政府の「貯蓄から投資へ」施策の効果が出てきたのかもしれない。「どの株を購入すれば、儲かりますか?」このような質問を受けることもしばしば。
しかし、FPとして個別銘柄の選定は、できませんとお断りしている。そんな場面、せっかく芽生えた顧客の学びの姿勢に水をさしてはいけないので、ファンダンメンタル分析の1つであるROE(アール・オー・イー)について説明することがある。
ROEとは、当期純利益を株主が出資した自己資本で割って100をかけて表す(%表示)。株主が出資した資本をどれだけ効率的に増やすことができる会社なのかを見ていく指標だ。成長率が高い会社を見つける際に投資家が気にする指標だと言える。
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ROEは何%以上が投資対象なのか?
ROEを一番気にするのは、外国人投資家だと言われている。
なぜかといえば、欧米では、「会社は株主のもの」という意識が強い(日本では会社は経営者のものという感覚がまだ残っている)ため、効率的に経営している会社なのかを見極めようとする投資家が多いからだ。
外国人投資家は、ROEが10%以上の銘柄を好むようだ。私が個別銘柄に投資する際には、最低でも10%以上可能であれば15%以上の銘柄に投資するようにしている。
ROEの数値に気をつけろ!
最近ROEに注目が集まる中、株式市場から資金調達を有利にすすめたい企業が、ROEの数値改善に取り組んでいる。気をつけないといけないのは、ROEは企業が意図的に上昇させることもできることだ。
それは、純利益が平行線だとしても自社株を取得することによって、分母である自己資本を減少させて、ROEを高めることができるからだ。
また、自己資本の中の資本には、他人資本(借入金など)もあり、キャッシュがどういう状況なのかを見極めなければ、単純にROEが高いだけで、個別株を購入すると痛い目に合う可能性もある。
純利益が10億円、純資産が60億円(うち、借入金が40億円)の会社の場合
ROE=10÷60×100≒16.7%
このケースではROEは15%以上あるが、借金が40億円、純利益が10億円という危険な会社と判断しなければいけない。
また、企業が意図的に高くすることができるROEは、単年で見るだけではなく、直近複数年の推移を見ておいた方が賢明だ。(執筆者:釜口 博)