前回、借金取りに対し債務者のとるべき行動の一つとして自己破産の活用について述べましたが、今回はその自己破産の手続き、メリット・デメリットについて少し述べてみたいと思います。
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自己破産のメリット
自己破産の一番のメリットは、ご承知のとおり今までの債務が帳消しになることです(もっとも税金等の一部についての負担は残ります)。また手持ち資産がすべてなくなるわけではなく、ある程度(現金で99万以内)は手元に残すことも出来ます。
自己破産のデメリット
デメリットですが、保険の外交員とか警備会社の警備員等一部職業制限や、借入が今後(5年~10年)できなくなること等ありますが、自己破産申立寸前の生活状況と比較すれば容認できる事柄でしょう。
それではなぜ大幅な債務超過となった人が皆自己破産の申し立てをしないのでしょう。それは自己破産という言葉のイメージが悪く肩身が狭い、あるいは手続きが面倒、費用がいくらかかるかわからないといった先入観があるからではないでしょうか。
まず肩身が狭いということに関しては、社会生活上ほとんど影響ないでしょう。確かに「官報」には掲載されますが、まず一般の人には無縁のものでしょう。次に手続きが面倒、費用が高額ということですが、自分で手続きをするか、司法書士・弁護士に依頼するかどうかによって変わります。
・司法書士は書類の作成を代行できても裁判官との面接は代行できません。
・弁護士は書類の作成のほか裁判官との面接も代行できるので、手間はかからないが費用は高くつきます。
<自己破産費用の目安(破産同時廃止の場合)>
自分で手続きをする場合約5万~
司法書士に依頼した場合約20万~
弁護士に依頼した場合約30万~
つまり自己破産を考える場合は、自分で手続きをしないのであれば、多少のお金は用意しておく必要があるということです。
最後に、破産同時廃止の決定があっても、免責決定の確定があるまでは破産手続きは完了しません。破産同時廃止決定で破産手続き完了と勘違いしている人がいますが、免責決定の確定を受けない限り、債権者からの追求は免れず、再起のチャンスは生まれません。要注意です。(執筆者:遠藤 力)