FX取引をしたことがなくても、FX各社の広告は目にしたことがあるのではないでしょうか? 「FX取引手数料0円!」、「完全無料!」という類の広告がWEB上にあふれていますので、「FXって手数料要らないんだ?」くらいに思っている方がほとんどかと。
FX取引に手数料は必要ない…。基本的にウソではありません。BID(売り)とASK(買い)だけなら、ほとんどのFX会社で取引手数料は0円となっています。当然、スプレッドという形で手数料は徴収されているわけですが、一昔前のように取引手数料という名目で手数料を徴収するFX会社はほとんどありません。
“手数料を徴収するFX会社はほとんどない” を言い換えると、ごく一部のFX会社では取引手数料を徴収するんです。先日紹介したFXCMジャパン証券が徴収するのは、口座維持手数料。(参考記事) しかし、ここで言っているのは、取引に関わる手数料を徴収するFX会社です。
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取引手数料を徴収するFX会社とは
手数料を徴収するFX会社の中から、月間FX取引高の多いFX会社大手2社をご紹介。1社目は【YJFX!】。
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ご存知の通り、元々はサイバーエージェントFXとして名を馳せたFX会社でしたが、今はYahoo! が買収し運営しているFX会社です。矢野経済研究所の調べによると、YJFX! は毎月のFX各社取引高トップ3に名を連ねる人気FX会社。そんなYJFX! でも、実はこっそりと取引手数料を徴収しているんです。
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「1万通貨未満 1通貨あたり片道3銭」の手数料がかかること、WEB上の取引ガイドラインに書かれていました。つまり、初心者向けでもある1000通貨取引をすると、30円の取引手数料がかかる計算になります。片道30円かかるということは、例えばドル円を1000ドル買い、その後売却したなら、往復で60円かかるということです。
1000通貨の新規・決済注文を10回したなら600円、100回で6,000円かかることになります。取引量が倍の2000通貨、100回取引で12,000円の取引手数料となりますから、見過ごせない金額ですよね。多くの場合、日をまたがずに決済するので、そこまで手数料がかかることはないかもしれません。(デイトレードの場合、決済手数料無料)
初心者も含め、多くの投資家たちが利用するYJFX!。 文句が殺到したのか、FXCMジャパン証券のようにサポートデスクが炎上したのか分かりませんが、「みなさまのご要望にお応えして」、15年5月29日(金)のNYクローズまでの期間、1万通貨未満の取引も手数料無料となるキャンペーンを実施しています。
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私見になりますが、このキャンペーンで1万通貨未満の取引が増えるようなことがあれば、継続的に手数料無料となるのではないかと見ています。さもないと、お客はあっという間に離れていくでしょうね。クイック入金を利用すれば、資金引上げはほんの数分で出来てしまいますから。
もう1社、意外な手数料を徴収するFX会社大手があります。それは、【GMOクリック証券】です。
中長期ならGMOクリック証券⇒公式HPへ
GMOクリック証券は、上でも少しふれた矢野経済研究所が毎月発表する「FX月間取引高」で、毎月DMM.com証券と1、2位を争う、FX業界最大手の一角を担っているFX会社です。そのGMOクリック証券は、意外な取引手数料を徴収するんです。
オレンジ線の下線が引いてありますが、「自動ロスカット発生時、追加証拠金制度による強制決済執行時のみ1万通貨単位あたり500円。但し、南アフリカランドは、10万通貨単位あたり500円。」とあります。(GMOクリック証券HPから引用)
つまり、「強制決済の場合には決済取引手数料500円かかりますが、自己負担でお願いします」ということです。強制ロスカットになるような取引をすること自体に問題があるとはいえ、ロスカット費用は自分持ち。
強制ロスカットになるということは、為替レートが自分の予想に反する動きとなった結果であり、間違いなく含み損を抱えた状態での強制決済執行となります。取引で損失を被るだけでなく、決済取引手数料も払うことになるという、最悪の結末。土下座するものに手を下すような仕打ちだと感じるのは私だけでしょうか。
それでも人気のGMOクリック証券ですから、利用者の多くは全く意に介さないか、あるいは強制決済手数料に気付いていないかのどちらかでしょう。
FX各社が設定する取引手数料。利用前にガイドラインをしっかり確認し、どんな手数料がかかるかを理解した上での利用が大切です。(執筆者:堀 聖人)