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「自分が年を取ったときは、どうせ年金もらえない」 そんなことはないとか、その通りだとか、いろんな意見を見聞きします。でも、本当のところはどうなんでしょう。私はどう備えたらいいんでしょう。
年金のしくみや計算はとてもとても複雑です。でも、ほとんどの人が高齢になります。確かな判断材料を知らないまま、うわさ話でスルーしてよい話題ではありません。
とはいえ将来は誰にとっても不確実なこと。確実に「こうなります」と誰も断言できないのです。
そこで今回は、この記事を読んだ方が将来の年金について御自身で判断していただくためのヒントをQ&A形式で投稿したいと思います。
まずは年金の基本を説明します。次に「国がこうですよ」と言っていることについて解説します。最後に、問題と言われている点のうち1つをとりあげます。できるだけ平易な言葉を使うようにこころがけますので、専門家の方のツッコミは謹んで御遠慮申し上げます。
目次
1. 年金の基本
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Q. 年金ってそもそも何?
A. 毎年お金をもらう方法を、広い意味で年金と言います。国の年金は、年6回偶数月に分割して支給されます。
Q. 保険会社で入る年金と、どう違うの?
A. 保険会社で入る年金は、年をとって収入がなくなってからの生活に備え、早いうちからお金を貯めておく契約です。国の年金制度は、働けない高齢者や障害のある方など、いま年金が必要な人を、いま働けている人たちみんなで支えるという制度です。
Q. 年金を払わないといけないの?
A. いま働けている人が払うのを「年金保険料」といいます。年金の保険料を払わないということは、道路や学校や消防などに使われる税金を払わないということに近い意味だと思います。
とはいえ、収入が少なくて払えない場合は、免除制度や猶予制度が利用できます。大人なら役所にちゃんと届け出しましょう。
Q. 国の年金はいつもらえるの?
A. 今の法律では、65歳からもらえる老齢(ろうれい)年金のほかに、遺族年金や20歳以上で必要となったときからもらえる障害年金があります。障碍者になったり、家族の生活を支えている人が亡くなった時にも年金をもらえることは、意外と知られていないようです。
Q. 国の年金はいつまでもらえるの?
A. 基本的に、亡くなるまで一生もらえます。
Q. 年金はいくらもらえるの?
A. 20歳から60歳までの40年間、ぴっちり払った場合に満額もらえます(基礎年金)。満額の金額は、過去数年間の日本全体の物価と給料額から毎年難しい計算をして決まります。サラリーマン(女性も)であれば、給料額に応じた追加の年金(厚生年金)がもらえます。
2. 年金が減ると言われる理由
Q. 2015年からは、さらに年金が減らされると聞いたけど?
A. これからもっと高齢者が増え、医療が進歩してもっと長生きすると、いま働けている人の負担がいっそう重くなります。物の値段が上がった場合、同じものを買って生活するためには、もらうお金もその分増やしてもらわないといけません。
しかし、物の値上がり分ほど年金の額は増やせませんよ、ガマンしてくださいね、というしくみが2015年4月に開始しました。マクロ経済スライドというしくみです。
Q. 将来もらえる年金は、今の半分に減らされるって本当?
A. 今働けている人が将来もらえる年金は、今もらっている給料の半分に減らされるか、という質問として回答します。
国は「所得代替率(しょとくだいたいりつ)」という言葉で説明しています。「所得代替率」とは、現役時代の収入の何パーセント分の年金がもらえるかという意味です。
去年65歳になって年金をもらい始めた人のうち、夫は平均的な収入、妻はずっと専業主婦というケースの場合、所得代替率は62.7%でした。つまりその人が働けていた時の年収の62.7%分が65歳の時にもらえた年金額だったという意味です。年金制度を支えている人の負担ともらう人のバランスを検討した結果、将来的には所得代替率が50%になるように国は考えているようです。
3. 問題点
65歳になって最初にもらう年金は、現役時代の収入の半分以上を国が保証しますよ、ということになっています。しかし、2回目以降受け取る年金については保証がありません。つまり、現役時代の収入の半分以下になることもありえます。
さらに、国が説明する「現役時代の収入」は社会保険料や税金を払った後の金額ですが、保証される年金額は社会保険料や税金を払う前の金額です。ですから、税金などを支払った残りの手取り分では50%より少ない金額になります。
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必要な老後資金は人によって様々
年金制度は国民が互いに助け合う制度だけれど、受け取る金額は十分とは言えず、足りない部分は働けている時から少しずつ貯めて備えておかなくちゃいけないんだね、ということをなんとなく理解していただけたでしょうか。
ところで、テレビや雑誌では「退職までに3,000万円貯めなくちゃいけない。いやいやそれじゃ足りない8,000万円必要だ」などと報道されています。
しかし、全ての人が3,000万円とか8,000万円ということではありません。1人1人ライフスタイルが異なります。住宅ローンが残っている人、親から相続した財産がある人、病気がちな人、1人暮らしの人、食べ歩きが生きがいの人、本に囲まれていたい人…様々です。
数百万円の貯蓄で十分という人もいれば、1億円あっても足りない人もいます。制度は制度として報道やうわさに惑わされず正しく理解し、自分自身には何が必要なのかを冷静に見きわめることが重要です。(執筆者:古川 みほ)