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空き家より農地が問題
相続税が払えない!?
親が亡くなり、引き継ぐものが、お金だけなら問題はありません。「大金を残すと相続税が大変だ」と思っている方がありますが、相続税は最高税率でも55%です。全部はなくなりません。相続税は相続したお金で支払い、残りもお金です。
もともと税引き後のお金を残されたと思えばよいのです。
問題は不動産
相続が発生し、とりあえず実家の不動産を相続する。ついでに長男だからと農地を相続する。預金はほとんどありません。
ところが相続税は現金払いが原則です。
農地の納税猶予といった方法を使うと、原則、死ぬまで農業をやならければなりません。農業が本業でなければ悩ましいところです。
物納もハードルが高いです。相続人が自身の預金やら収入で支払えるのであれば認められません。
愛知県の遺産分割事情
愛知県の地方(調整区域)では
調整区域では家が原則建てられませんが、分家であれば家が建つためか実家の近く(ハナレと言って同じ敷地内)に子供夫婦が住むことが多いです。
そのため、実家が空き家になるケースは少ないです。親が亡くなればハナレに住んでいた子がその家に住むか取り壊すことになるためです。
問題は実家とともに引き継ぐことが多い調整区域の農地
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調整区域の農地は分家住宅等除き原則家が建たないため、相続税対策でよくあるアパートを建てるといった土地活用もできません。
売却しようにも宅地として売れないことが多く、農地として売却ではただ同然となる。そもそも誰も買ってくれないこととなるかもしてない土地なのです。またその地域に住んでいると売却しずらいのも本音です。
筆者は愛知県の地方に住んでいますが、たまたま今年農事組合長の役が回ってきました。
親からの相続で農地はあるものの「田は全くやっていないので…」と辞退しようと思ったのですが、現在の組合員のほとんどが農地を所有しているものの、農業を行っている方はほとんどいないことがわかり引き受けざるを得なくなりました。
農地があれば地域での農事組合員となり、こういった仕事も回ってきます。畑があれば草取りも大変です。農地は相続時よりその後の維持管理が大変なんです。
生前にやっておきたい親の土地調査
・形状
・登記地目、現況地目
・先代の名義の土地はないか
・共有名義
・地目
・市街化区域(生産緑地の有無)か調整区域(農振区域か否か)
これらはすべて市区町村役所にて調べれます。
先代名義の不動産でも戦前の家督相続を適用し名義変更がスムーズにできることがあります。また先代の遺産分割協議書の有無の確認も大切です。
土地の調査をする際、市町村からくる課税明細書のみで行わないでください。市道などに使用されているために固定資産税が非課税税となっている場合もあるからです。そのため窓口にて評価証明書の入手をおすすめします。(執筆者:橋本 玄也)