離婚はあくまで夫と妻の問題なので、子供は全く関係ありません。そのため、離婚に伴う子供への弊害はなるべく最小限にとどめなければならないのは妻だけでなく夫も同じく認識しているはずです。
万が一、両親の離婚によって塾や習い事を辞めさせられる、小遣いを減らされる、新しい衣服を買ってもらえない、など生活水準や教育水準が今までより下がるようでは、子供はこの家に産まれてきたことを後悔するでしょう。子供には何の罪にないのだから、せめて離婚前の生活、教育水準を離婚後も維持できるよう、夫は十分な養育費を負担しなければなりません。
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養育費の金額や期間の決め方
例えば、夫は妻に対し、今現在、生活費として毎月27万円を渡しているとしましょう。
仮に夫・妻・子供2人の4人の生活費として
保険料45,000円
通信費20,000円
日用品(消耗品)20,000円
子供2人の預金20,000円
教育費(塾の引き落とし以外)30,000円
交通費(ガソリン代含む)25,000円
娯楽費20,000円
その他雑費40,000円
を支出しているのなら、過不足ない金額です。
ところで現時点で子供はまだ10歳、8歳ですが、とはいえ子供1人につき必要な食費や公共料金(電気、水道、ガス等)は大人とほとんど変わりません。
養育費はあくまで子供にかかるお金なので、27万円から夫と妻にかかるお金を差し引くと14万円(270,000円×4分の2=135,000円。5,000円は10,000円へ切り上げ)
子供の離婚前の生活水準や教育水準を離婚後も維持するためには夫の負担額135,000円は必要不可欠です。
また夫は自分の両親から受けたのと同じ教育水準を子供に受けさせなければならないのは当然のことです。夫はもちろん、自分の両親のおかげで経済的には何不自由なく、大学を卒業することができたのだから、子供も同じように何不自由なく、大学を卒業できるように大学卒業月まで養育費を支払わなければなりません。
具体的には子供が大学を卒業するまで毎月14万円ですが、妻の指定する金融機関の口座に振込入金にて支払うことです。
例えば、所定の場所(自宅の金庫など)で授受、夫が妻へ直接手渡し、子供に預けておくといった「現金払い」も可能といえば可能ですが、すでに夫婦間に信頼関係がないので現金払いでは行き違い等のトラブルが発生するのは目に見えています。だから、養育費は現金で支払うことも可能だが、あえて銀行振込で支払ってもらうのが無難です。
塾、習い事の納付義務者は変わらない
また現在、子供は塾に通っているが、どちらの塾も月謝に関する書類には夫が署名しているので月謝の納付義務者は夫です。
だから、もし夫と妻が互いに責任を擦り付け合い、どちらも月謝を納付しなかった場合、塾が請求する先(督促状の送付、財産の差押等)は妻ではなく夫なのです。
もちろん、夫は子供を月謝未納により退会させる気はないだろうし、万が一、本当にそうなれば同級生がその両親、そして先生に「○○さんの子が月謝の未払いで辞めさせられたらしい。よほどお金に決まっているだね」と思われ、あちらこちらで吹聴されたら世間体が悪すぎるでしょう。
そもそも夫は今までも毎月の生活費とは別に月謝を支払ってきたのだから、追加の負担を求めているわけではなく、離婚後も今まで通り、養育費とは別に月謝を支払って欲しいところです。(執筆者:露木 幸彦)