最近の米・ファンダメンタル動向を見ると、米利上げXデーがますます近づいている印象です。
実際に米利上げが実施されれば日本経済への影響は必至ですが、少なくとも更なる円安が予想されます。米利上げを意識してなのか、ドル円レートは一時的ではありますがすでに124円に達しました。
市場が米利上げXデーをさらに意識しだした理由とは? 米利上げXデーを左右することになる今週注目のイベントを見ていきたいと思います。
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市場が米利上げXデーをさらに意識しだした理由
5月20日に公表されたFOMC議事録の中身に米利上げXデーのヒントがあるようです。その中身を簡単に列挙すると…
・米第1四半期(1~3月)の景気減速は一過性のもの
・FOMCメンバーの多くは、今後の緩やかな成長を見込んでいる
・6月利上げの可能性は低い
…というものです。
6月の利上げの可能性は低いとありますが、6月利上げはないと言い切っちゃって良いでしょう。焦点は、9月か12月です。実際、1~3月期の景気が軟化しましたがそれは一時的な局面に過ぎないという前提で、“9月か12月” で意見が激しくぶつかっているのです。
FOMC議事録による意見の衝突に拍車をかけたのが、5月22日のイエレン議長の講演です。講演では…
・年内のいずれかの時点の利上げは適切だ
・第1四半期のあと景気は回復していく
…と述べたのです。
今までは慎重に慎重を重ね発言していたイエレン議長。それが手のひらを返したように楽観的でかつ強気とも言える発言をしたことで、米利上げXデーが強く意識されたというわけです。今までの慎重さはどうした? と、つっこみたくなりましたが、景気回復に相当な自信があると思われます。
今週注目のイベントとポイント
6月1日の週に米利上げXデーを左右する重要指標の発表があります。それは6月5日(金)発表予定の「米・雇用統計」です。
先にふれた5月22日の講演の中で、イエレン議長は「雇用最大化という政策使命の一つのゴールに近づいた」と表明しました。つまり、利上げタイミングは雇用関連指標に大きく依存していると言えます。
この関係が成り立ちますから、6月5日発表の雇用統計には注目です。
5月非農業部門雇用者数の市場予想は、前月比で21.5万人の増加で、先月は22.3万人の増加でした。失業率予想は5.4%、前回も同じく5.4%です。市場予想を上回る数値が出てくると、9月利上げ論が高まり12月利上げ論が後退するでしょう。
逆に、雇用統計数値が予想を下回った場合、12月利上げ論が加速する、または来年に持越しすべきだという意見が出るかもしれません。当然その他米経済指標(GDP速報や消費者物価指数など)も利上げ観測をする上で重要なのですが、5月雇用統計が利上げタイミングのキーポイントとなるのは間違いありません。
最後に、5月8日に4月米雇用統計が発表された時のドル円チャートをご覧ください。
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前回の雇用統計発表は “バンジージャンプ” でした。発表前の直近高値120.224円から119.592円まで瞬間的に約0.6円以上も急騰し、すぐに値を戻し、また急騰…。前回はこのような値動きでしたが、今回はどうなるでしょうか。
6月5日(金)、21:30を待ちましょう。(執筆者:堀 聖人)