貯蓄だけではダメということは理解している…
老後資金の必要性は十分理解している…
投資の目的は理解していながら、それでも投資に一歩踏み込めないでいる。それは投資をするにはチャートが理解できないといけないとか、世界経済に精通していなければいけないとか、自分で大きなハードルを作っているのではないでしょうか。
また、絶対に損を出したくない、1円でも減らしたくないという「欲」が強すぎることにより、投資を敬遠するということはないでしょうか。
投資の必要性を理解しながら、投資に踏み込めないこれらの事柄をしっかりと検証することで、投資をもっと身近に手繰り寄せることができるのかもしれませんよ。
損失に対する欲の克服は、投資において最も重要な要素です。別の項目でたっぷりと解説することとして、今回は投資の必要知識面でのハードルについてお話しします。
目次
「投資」と「トレード」の違いは?
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そのキーとなるのが「投資」と「トレード」は違うというお話しです。
「投資」と「トレード」、この両方を同じレベルで捉えている人が多いようです。この両者は、マーケットの見方も、マーケットの考え方も全く異なります。
世の中で語られるマーケット分析手法は、「トレード」に求められる要素が多いようです。それを見て、投資においても知っておかなければいけないとハードルを上げてしまうのではないでしょうか。
まずは「投資」と「トレード」は違うと言うことをしっかりと理解しましょう。投資とトレードの違いは、何に価値を置いているかで異なります。投資は投資対象に価値を置き、トレードは価格に価値を置いているのです。
わかりやすい方から解説しましょう。
トレードとは
トレードはマーケットに入った時の価格が重要です。この後、時間経過とともにその価格が上に抜けるのか下に切り下がるのかが重要なのです。投資対象の価値は重要ではありません。
トレードは多くの場合、短期で物事を見ます。ごくごく短期の価格の変動を捉えるのが目的です。それゆえ、求められツールは、価格変動を先取りする、あるいは価格変動を察知するものが有効です。
それがチャート分析です。また、ローソク足の形状による分析も重要です。チャート分析では様々な指標を用います。トレンドを見るものやモメンタムを見るものを駆使します。
投資初心者の方は、もうこの時点で頭が痛くなりそうですよね。わざと専門用語を使いました。トレードに関しては、それ専門に、解説のコーナーを設けた方がいいですね。
トレードではなく投資の場合、このようなチャート分析よりももっと重要なことがあります。
投資とは
投資では投資対象の質を意識します。個別株投資なら、将来に向けて上昇する企業体質になっているのか、企業収益や投下資本の効率性はどうかを理解します。ここでもちょっと難しい感じがしますかね。
でも株式投資信託を買うというのであればどうでしょう。企業分析ではなく、もっと大きな枠でマーケット全体をとらえることで投資はできます。
アベノミクスで株価が上がっているからという観点で捉えても構いません。もちろんこれからさらに株価が上がるという根拠は必要です。その根拠は経済新聞やニュースやネットで取り入れます。
となると、投資初心者が必要な知識とは、なぜ株価は上がるのか、どういう時に下がるのかを理解することですね。
ずいぶん必要な知識が絞られてきました。
どちらを選ぶかで勉強の仕方も変わる
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投資を選ぶかトレードに燃えるかで、勉強の仕方は違ってきます。
例えば株式には適正価格というものが存在します。今の企業価値から見ての株価は割高か割安かは判断できます。しかし、為替には適正価格というものは存在しません。取引されている価格自体が全てなのです。それが安いとか高いという概念はありません。
為替の場合はトレードの概念が強いです。価格そのものが注目されます。株式投資の考えでFXを行うと失敗することが多くなります。株式投資は向いているけどFXは苦手という人がいるのはそういう理由です。
繰り返しますが、「投資」と「トレード」では勉強の仕方が違うのです。本当はどちらも大事です。ただ最初は自分にあった方を選んでください。投資信託を買うのに個別株のチャート分析は、今のところは要りません。
でも全く勉強しなくてもいいということではないですよ。投資を始めたら、それこそしっかりと頭の中の汗はかいてもらいますからね…。(執筆者:原 彰宏)