
現在、共働き世帯数は専業主婦世帯数を上回り、1000万を超えてさらに増加中とも言われております。
共働き世帯の家計相談を受けて感じるのは、万が一の保障は世帯主である夫につけてはいても、妻にはつけていない、あるいは、つけていてもお葬式代程度というところがけっこうあるということ。
しかし、妻が死亡した場合には、一人分の収入が減るので暮らしが厳しくなることもあるかもしれません。遺族年金にも思わぬ落とし穴があります。妻が死亡した場合のリスクもしっかり考えておきましょう。
目次
小学生のお子さんが2人いる、Aさん夫婦の場合

Aさん夫婦は共に30代。それぞれの収入は手取りで約280万円。二人の稼ぎでなんとか暮らしていけています。住宅ローンを利用して中古マンションも購入しているので、二人とも定年まで働き続ける覚悟です。そんなAさん一家の死亡保障は、夫が4000万円、妻が200万円です。
夫が亡くなった場合の遺族年金は
Aさん一家に万が一のことがあった場合の遺族年金はどうなるのでしょう。
夫が亡くなった時に、18歳年度末までの子(1級・2級の障害状態の子は20歳未満)がいれば、国民年金から遺族基礎年金が支給されます。子が2人なら約123万円、子が1人となれば約100万円です(どちらも平成27年4月~)。厚生年金に加入しているので、遺族厚生年金も支給されます。年金額は加入期間や平均給料額によって決まります。
さらに、子が成長して遺族基礎年金の年齢制限を超えた時点で妻が40歳以上になっていれば、65歳まで中高齢寡婦加算が約59万円(平成27年4月~)支給されます。Aさんの場合、預貯金額や死亡退職金もある程度あるので、夫の保障4000万円でも暮らしていけそうです。
妻が亡くなった場合の遺族年金はどうなる
遺族厚生年金を受給できる遺族は、故人によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母です。妻は年齢にかかわらず受給できますが、それ以外の遺族には年齢制限があります。
例えば夫は、妻が死亡した時に55歳以上であった場合に、60歳から支給される仕組みです(ただし、遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金もあわせて受け取ることができます)。
Aさん一家に当てはめてみましょう。今、妻が亡くなると、遺族基礎年金は夫に支給されますが、遺族厚生年金は夫ではなく、子に支給されます。そして下のお子さんが18歳年度末を過ぎると、どちらも支給されなくなります。
もしお子さん達が大学生なら、多額の教育資金がかかる頃に、夫の収入だけでもろもろの費用を払っていかなければならないということ。妻の保障額は200万円程度ですから、なにかと心配ですね。
※妻が死亡した時に夫は55歳未満なので、60歳になったからといって、夫に遺族厚生年金は支給されません。
住宅ローン残債分の死亡保障をつけると安心
なお、Aさんは住宅ローンを組む際、夫名義で全額借りました。団体信用生命保険(団信)に加入したので、もしも夫に万が一のことがあれば、保険金で住宅ローン残債が一括返済されます。しかし、妻が死亡してもローンはなくなりません。一人分の収入が減るのにローンを払い続けるのは厳しいことでしょう。妻にも、ローン残債分程度、できればいくらか上乗せした金額の保障をつけておいたほうが安心です。
今一度、妻の保障を確認
妻が死亡した場合は、家事や育児を誰かに頼むことになったり、残業や出張もなかなかできず、給料が下がることだってあるかもしれません。ですから、共働き夫婦は妻の保障もしっかりと考えておくことが大切なのです。皆さんのご家庭はいかがでしょうか。この機会にチェックしてみてくださいね。(執筆者:横井 規子)