7月29日付の日経新聞にて「最低賃金が過去最大の18円上昇」となっています。これは、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会が、今年度の地域別最低賃金の改定について全国平均で時給18円を引き上げ、時給798円を目安とすることを決定した旨を受けた記事です。
今後、この引き上げ額を目安に各都道府県の地方審議会が最低賃金額を決定し、今年10月1日以降順次、新たな最低賃金額が適用されます。
そこで本コラムでは最低賃金制度について、皆さんと確認をしていきたいと思います。
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目次
1. そもそも、最低賃金制度とは?
使用者が最低賃金法に基づいて、国が定めた最低賃金額以上の賃金額を支払わなければならない制度です。産業・職種・就労形態(正社員、パート、派遣等)にかかわりなく、全ての労働者と使用者に適用されます。
2. 最低賃金額を下回る雇用契約はどうなるの?
仮に最低賃金額より低い賃金額で、労使双方が合意の上、雇用契約を締結していた場合、法律によって無効となり、最低賃金額と同額で雇用契約を締結したものとみなされます。最低賃金額を下回った場合、使用者は最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
また最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には罰則が適用されます。
3. 自分の賃金が最低賃金額を超えているかの確認方法は?
(1) 賃金額を時給に換算してみよう。
最低賃金額は時給で表示されていますから、月給や日給等の賃金体系の方はご自身の賃金額を時給に換算する必要があります。この時にご注意いただきたいのは、対象となるのはいわゆる「基本給」部分であって、次の手当等の額は含みません。
・賞与、ボーナス ・精皆勤手当、通勤手当、家族手当
・結婚手当などの臨時に支払われるもの
(2) 時給換算の方法
・日給の方 日給 ÷ 1日の所定労働時間
・月給の方 月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間
・歩合給の方
(税金や社会保険料等を控除する前の、賃金の総支給額-上記(1)の控除する額)÷月間総労働時間
(3) 時給と比較する、最低賃金額は?
最低賃金額は、都道府県ごとに定められた地域別のものと、特定の業種について定められたもの、の2種類があります。
就労場所がどこにあるのかによって最低賃金額は異なりますので、就労場所のある都道府県の労働局のHP等で公開されている最低賃金額を確認します。
この時、ご自身の職種が特定の業種に該当する場合には、特定業種毎に定められた最低賃金額とご自身の時給換算額を比較してください。また派遣で就労されている方は、派遣元会社のある都道府県ではなく、実際に就労されている場所(派遣先会社)の都道府県の最低賃金額で比較します。
ご自身の賃金額が最低賃金額を超えているかどうかを確認するとともに、現在の就労環境の見直し・就労環境への感謝等、「働く」ことについて考える時間を持っていただければ幸いです。(執筆者:岡村 ひろ子)