2015年8月3日、「ふるさと投資」の概要がヤフー特設サイトで発表されました。
ふるさと納税の投資版とされる「ふるさと投資」とはどんなものか、ちょっと調べてみました。

目次
ふるさと投資の概要
ふるさと投資とは
個人が少額投資によって、地方活性に貢献できる仕組みとなっています。1口あたりの投資額は2~3万円。出資金を得た地方事業者は3~10年をめどに出資金を活用・運営します。
対象事業者は、事業売上の一部を出資者に分配するほか、商品やサービスを特典として贈呈します。
ふるさと投資のプロモーションはヤフーが担当しますが、ファンド募集はミュージックセキュリティーズ株式会社が行ないます。
かんたんにまとめると、出資者はミュージックセキュリティーズ株式会社を通して○○事業者に出資します。そして、出資者は出資額に応じて分配金と特典商品やサービスを受取れる。これがふるさと投資の仕組みです。
ふるさと投資概要
対象事業者:8社(8月5日時点で2社のみ公開。今後、随時公開予定)
ファンド募集:ミュージックセキュリティーズ株式会社(第二種金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1791号
1社当たり数百万円~数千万円の資金を募集
出資は1口2~3万円から募集
ファンド運営は3~10年程度
運営期間中の対象事業売上の一部を出資者へ分配する
出資者特典として商品やサービスを提供
どんな事業主に出資するのか
ふるさと投資の主旨にあるように、基本的には地方の事業主に出資することになります。今募集が行なわれている1社の概要を見てみましょう。

プロジェクト名は、「大分 食べるスープとジビエファンド」です。営業者は大分県の「有限会社 成美」。1口20,000円(+取扱手数料1,140円)から出資できます。出資機関は3年間(15年8月1日~18年7月31日まで)です。
“地元食材を活かした食べるスープ「豊後おがたん鶏汁」、「SOUP Kitchen Oita」およびジビエ料理「おおいたジビエ ソバージュ」を製造販売し、大分の魅力を発信” しているという、有限会社成美です。(引用:http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=a&fid=1181)

岩切知美社長は3人の子持ち、ママさん社長なのですが、意外な苦労もされているとのこと。銀行に融資依頼に行ったそうですが、女性で一年目だと断られることがほとんどだったらしいです。しかし、ふるさと投資で少しずつ資金が集まってきているので、こういう資金の集め方もアリなのかと。岩切社長は記者会見でお話を聞きましたが、誠実さと使命感を持った熱い方です。
話を元に戻しましょう。「大分 食べるスープとジビエファンド」への出資特典は、5,000円相当の賞品セットとのこと。

要は、有限会社成美の今後の発展と活躍を願う人は1口20,000円(+取扱手数料1,140円)から出資できる。そして、分配金と自社商品が付いてくる、ということです。
気になるのは、出資によって得られる利益。1口21,140円に対し、5,000円相当の贈呈商品と分配金を受取ることで、出資者が得られる利益はプラスになるのでしょうか?
結論から言いますと、事業計画進捗率100%達成ならば、+5,462円の計算になるようです。

しかし、利回りなどの詳細はどこにも掲載されていません。実は、ふるさと投資を始めた人のほとんどは、利益より応援、というスタンスとのこと。
ですから、あえて利回りは書いておらず、どんなことを目指しているのか、その目的をメインで出資者の皆様にお伝えしているようです。これがふるさと投資のポイントですね。
ふるさと投資の注意点
忘れていけない点ですが、事業計画進捗や結果によっては元本割れのリスクがあります。ふるさと投資は元本保証型投資ではありません。
そして、ふるさと納税の投資版とはいえ、税金の控除・優遇もありません。出資金額を越える利益部分に対し、20.42%の源泉所得税がかかります。ですから、納税の面でふるさと納税のメリットと切り離して考えましょう。
ふるさと投資の目的を考える
以上、ふるさと投資とはどのようなものか、その概要を見てみました。現時点では8社の内2社しか公開になっていませんので、不明な点もあります。しかし、大よそは把握することができたかと思います。
ざっくばらんに言うと、ふるさと投資はふるさと納税と株式投資の中間的な位置づけ、というイメージです。
ふるさと納税ならこちら→ふるさと納税の源泉記事一覧
ふるさと納税のように地元特産品やその他サービスを貰える。しかも、株式投資の配当にあたる分配金を受け取れます。しかし、株投資と違い、投資対象は地方の小さな会社。先にふれた会社は有限会社であり、株式会社ではありません。
そう考えると、概要でお伝えした通り、ふるさと投資の主な目的は地方企業のサポートと地方活性化なのです。株投資と同じように考えるべきではなく、利益を追求したいならば素直に株を買ったほうが良いでしょう。あくまでも地方企業支援、ふるさと納税にちょっと毛が生えた程度と考えるべきです。
また、女性にスポットを当てているのも一つの特徴でしょうか。先に挙げた岩切社長は女性ですし、女性の出資者を増やしたいというのが本音のようです。今は40代男性がメインでふるさと投資を手掛けているようですが、今後は女性もターゲットになっていきそうです。
ふるさと投資 まとめ
・ふるさと投資とは、個人が少額投資によって地方の活性化に貢献できる
・投資額に応じて分配金と特典を受取れる
・ふるさと納税と株投資の中間的位置付け
・メインの目的は地方企業支援
・利益を追求したいなら素直に株を買ったほうが良い
出資をする前に、出資目的をよく考えましょう。あなたのニーズを満たすようであれば、ふるさと投資をやってみるのも悪くありません。(執筆者:堀 聖人)