8月24日に起きた世界同時株安&円急騰。元凶は中国だったわけですが、相場は少しずつ落ち着いてきたようです。
しかし、まだまだ油断はできません。というのは、9月に入ると世界経済は一つの山場を迎えます。そう、アメリカの利上げ問題です。
9月に利上げするのかしないのか。この問題の結論はいまだ出ておらず、利上げ見送り論が広がりつつあるものの、9月利上げの可能性は排除できません。
9月にアメリカが利上げとなれば、日本だけでなく世界の市場に影響がでてくるのは間違いないこと。一方で、利上げ回避となったとしても一定のサプライズになります。いずれにしろ9月には嵐が吹き荒れる可能性が高いのです。
9月に嵐が吹き荒れるのか? その見極めのポイントは? 注目ポイントを3つ挙げてみます。
目次
1) 9月16~17日のFOMC
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アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)が9月16~17日に開催されます。これが
最大の注目ポイントと言って過言ではありません。なぜなら、
この会合で利上げの有無が決定されるからです。
チャイナショックで相場に不安定感があるものの、米・4~6月期GDP改定値、7月の雇用統計値、その他住宅関連指標は上々。これら背景を考えると、9月の利上げが時期尚早とは決して言えないのです。
では、FRB(米連邦準備理事会)は半月後に迫るFOMCまでの期間、どんな点を注視するのでしょうか。それは2つ目と3つ目のポイントと大きく関係しています。
2) 8月31日の週発表の注目経済指標
8月31日の週、FRBが注視していると思われる多くの重要経済指標が発表されます。
・8月ISM製造業景況指数(9月1日) 重要度★★★★
アメリカの製造業の景況感を指数で表した経済指標。基本数値は50.0で、50.0を上回ると景況感良好の目安となる。
・8月ADP雇用統計(9月2日) 重要度★★★
雇用統計の前哨戦と言われている経済指標。参照記事⇒米雇用統計の前哨戦「ADP雇用統計」はどの程度参考になるか、調べてみた
・8月ISM非製造業景況指数(9月3日) 重要度★★★★
アメリカの非製造業(要はサービス業のこと)の景況感を指数で表した経済指標。基本数値は50.0で、50.0を上回ると景況感良好の目安となる。
・8月雇用統計(9月4日) 重要度★★★★★
雇用統計には何種類もの指標が含まれるが、最も重要なのが非農業部門雇用者数と失業率。
注目すべき重要経済指標が目白押しですが、是が非でも注目したいのが「8月雇用統計」。FRBイエレン議長の発言を聞いていると、特に注目しているのが雇用統計のようです。
今回の8月雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が22万人増、失業率が5.2%となっています。参考に、ヤフーファイナンスの失業率グラフをお借りして視覚的に見てみましょう。
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失業率は順調に低下し、7月は5.3%という結果でした。それをふまえると、FRBが利上げを積極的に考える数値は最低でも5.2%かと。
もし、先月の失業率と同数値の5.3%、或いは0.1%でも悪化するようなことがあれば利上げ延期の可能性が高まり、結果としてドル高円安&株高に動くことになるでしょう。
今回の米雇用統計、必見です。
3) 中国市場動向
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市場が落ち着きを取り戻してきたとはいえ、中国市場動向からはまだまだ目が離せません。
FRBのフィッシャー副議長も「中国経済の動向を普段以上に注視している」と、8月29日まで開かれていた経済シンポジウムの講演の中で述べていました。
アメリカの利上げは世界経済に大きな影響を及ぼす問題ですから、慎重な発言が繰り返されるのは当然です。
しかし、予想以上に波及した中国発の世界同時株安問題とその影響を慎重に見極めず利上げに踏み切るようなことがあれば、それも混乱を招くきっかけとなるかもしれません。引き続き中国の動向を注視したいところです。
ただし、アメリカの利上げが決行されるか否かに大きな注目が集まる9月なのですが、特段大きな問題がなければ、遅かれ早かれアメリカの利上げは決行されることになります。
今回のような中国発の世界株安問題はあくまでも調整の範囲内であり、不安感が投資家に株を売らせただけです。長期的に見れば、今は買い相場です。魅力的な買い相場です。
そういえば、フリーアナウンサーでトレーダーの大橋ひろこさんがツイッターでこんなことを言っていました。
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大橋さんは一例で、多くの投資家は “チョコチョコ” と買い進めているようです。長い目でみれば押し目買いの絶好のチャンスというわけですね。
ちなみに筆者も米ドルを買ってみました。400ドルだけですが。(参考記事:世界同時株安で円急騰だけど、400ドル買って歯向かってみた)
注目ポイント3つ まとめ
・9月16~17日のFOMC
・8月31日の週発表の注目経済指標
・中国市場動向
アメリカが利上げに踏み切っても延期でも、相場が荒れることが予想されます。ポジション調整など適切な対処を取り、“嵐” を乗り切れるよう願っています。それでは、また。(執筆者:堀 聖人)