株主優待は毎年同じ内容とは限らず、たとえば、新たに株主優待を設ける企業がでてきたり、株主優待を改善/改悪する企業もあります。
株主優待が新設されたり改善される主な理由は、株主獲得です。株主獲得が円滑に進めば営業資金を取得することができますし、株価上昇も期待できます。
逆に、株主優待が改悪となったときは黄信号。その内容にもよりますが、今まで2000円相当のものを贈呈していたのに今年からは半額の1000円分のみ、というような改悪だった場合、会社経営状況が芳しくないシグナルかもしれないのです。
投資家たちが株主優待の新設・変更ニュースを逐一チェックしているのもうなずけますね。ただただ株主優待が狙いというわけでなく、その背後にある状況もしっかり見ているというわけです。
それをふまえ、最近新設された株主優待、変更された銘柄をご紹介します。今後の株投資の参考になれば幸いです。
目次
アトム(7412)
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最低売買価格:75,200円(9月3日終値)
株主優待変更内容:【改善】
優待内容:100株以上保有で2000円相当のポイント贈呈(年2回)
<変更前>
アトムとコロワイド系列店舗で利用可
<変更後>
アトム、コロワイドに加えカッパ・クリエイトホールディングスの系列店舗で利用可
今回の株主優待改善情報とほぼ同時期に、親会社のコロワイドが保有株の一部で最大3500万株を売り出すというニュースが発表されました。需給が悪化するかもということで、かなり株が売られており、株価急落となっています。
優待改善としたのも、親会社の株売出での株価下落を一定の範囲に抑えたい狙いがあるのかもしれません。少なくとも株価が下がっていますので、これをチャンスと見るかどうか。
ちなみに、親会社のコロワイドの株主優待で貰える優待ポイントがカッパ・クリエイトホールディングス店舗で使えるようになったこと。そして、カッパ・クリエイトホールディングスの優待であるポイントカードが、アトムとコロワイド系列店舗で利用できることも同時に発表されました。
そうなると、たとえばカッパ・クリエイトホールディングスの優待ポイントが欲しいけど、最低取引価格が131,700円(9月3日終値)と高めだから、割安なアトムの株(9月3日終値 75,200円)を買って優待でかっぱ寿司を食べに行こう! という選択ができます。
アトム-コロワイド-カッパ・クリエイトホールディングス この3社が繋がったことは、優待を利用するという面から見て損はなさそうです
川西倉庫(9322)
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最低売買価格:81,500円(9月3日終値)
株主優待変更内容:【新設】
優待内容:100株以上保有でクオカード1000円分(年2回)
8月31日は売買不成立(取引がないほど不人気株だったのです)で終わり、株価は全営業日の終値599円のまま。8月31日の取引終了後に優待新設の発表があり、9月1日は一気にストップ高。その後929円まで跳ね上がり、現在815円をキープしているというわけです。
川西倉庫は増配予定で、今期は12円の予定となっています。つまり、100株保有で1200円の配当金を受取れるので、現時点の株価で算出すると配当利回りは1.47%。
1.47%という数字自体は魅力があるわけではないのですが、そこに優待の2000円分のクオカードが加わると総利回りは3.92%となり、かなりの高利回りとなります。株価が一気に跳ね上がるわけですね。
現在、川西倉庫は東証2部。将来的に東証1部への昇格を狙っているのかどうかはわかりませんが、少なくとも長期的に株式を保有してくれる株主の獲得を図っているものと思われます。4%近い利回りなら中長期的に保有してもいいなぁと、個人的には思いますけどね。
株主優待新設・変更銘柄 【2015年9月上旬編】 まとめ
【改善】
・アトム(7412)
・コロワイド(7616)
・カッパ・クリエイトホールディングス(7421)
【新設】
・川西倉庫(9322)
優待が新設・改善された場合、株価が急騰する傾向にあります。(今回のアトムは例外ですが…) 上がりきったところを狙わずに株価がある程度落ち着いてから狙うのも一つの手です。
焦らず高値つかみしないように取引できたらいいですね。それでは、また。(執筆者:堀 聖人)