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保険でのリスクヘッジの基本と矛盾する可能性のある医療保険の内容とは?

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保険でのリスクヘッジの基本と矛盾する可能性のある医療保険の内容とは?

医療保険だけでなく保険全般に言えることですが、保険は本来、


「発生頻度は高くないけれど、いざ発生した時に家計を揺るがす経済的な損失」に備えるもの

というのがリスクヘッジの基本です。


ですが保険の内容には、「この基本と矛盾しているんじゃないの?」と思われる内容のものが多く見受けられます。

今回は医療保険に的を絞って、そう考えられる内容についてお話したいと思います。又、あわせて一般的には「良い」と思われていることが、実はリスクを孕んでいる可能性があることや売り手側の論理で成立してきたと思われることなどについてもお伝えしたいと思います。

「日帰り入院」や「入院1日目」から入院給付金が出ることは「良い」ことなのか?


入院日数の短期化等に伴って、入院給付金については現在この内容のものが主流ですが、上記の保険でのリスクヘッジの基本から考えますと、矛盾を感じさせる内容のひとつです。(一説には、通販保険のクレームの多さから内容変更がなされたとの話もあります)


入院日数については、重篤な病気での入院を除くと1週間程度になるという統計もあるようですので、その場合入院5日目から給付される医療保険では受け取れる給付金は知れています。

その際に「折角、医療保険に入っていたのに…」という感情は理解できますが、冷静に考えてみてください。給付金を受け取りやすくなる分、日頃の保険料は上がるのです。上がった保険料分を全額回収出来ると思いますか?

数日分の入院給付額の差で家計を揺るがすことはまずないでしょう。保険でのリスクヘッジの基本とは矛盾するのでは…。

「一入院60日型」は、保険でのリスクへッジの基本とは矛盾していないのか?

こちらも入院日数の短期化に伴って、合理的で「良い」と思われているように感じますが、果たしてそうでしょうか?

特に、終身医療保険加入の際には考えてしまう場合があります。

家計を揺るがす経済的な損失を補填するという基本からすれば、むしろ、60日超の入院を余儀なくされた場合にこそ、医療保険の威力が発揮されるべきと考えられるからです。

また入院日数の統計には、再入院や転院した場合等の事情は考慮されていないと思われますので、そうなると再入院や転院する病気に罹る可能性の高い高齢時の補償は万全といえるのでしょうか?

さらに、医療保険には「180日ルール」というものが存在します。これは、同じ病気もしくは、病名は違っても原因を同じくする病気の入院は、前の退院から180日以内の入院であれば、「 一入院 」 とカウントするというものです。(ケガも同様)(最近では、このルールを別の病気が原因で入院しても適用する医療保険まで存在します)

「180日ルール」が適用されると、実際の自己負担額の半分も給付が受けられない場合も存在し得ます。保険でのリスクヘッジの基本に反するのではないでしょうか?

手術給付金の適用範囲を少額手術や健康保険適用手術(いわゆる1000種類)まで拡大することはどうなのか?


まず初めにお話しておきますが、88種手術給付との比較において、

88:1000

ではありませんので、お間違いのないようにお願い致します。


これも家計を揺るがす経済的な損失を補填するという保険でのリスクヘッジの基本に従えば、疑問に感じるところであります。

たかが入院給付金日額5倍程度の手術給付金のために割増保険料を支払う必要があるのでしょうか? これも売り手側の論理で成立したものではないかと考えます。経済的な損失が少ない手術までを医療保険でカバーすることは保険でのリスクヘッジの基本に反するとも思えるからです。

「医療保険に加入する必要はない」と断言することは、あまりにも無責任ではないのか?

これはある書籍などで語られていたり、一部のFPなどで話されていることですが、正直、無責任さを感じます。高額療養費制度などの日本の公的医療保険制度の手厚さを盾に語られている訳ですが、数十年も先の将来まで同内容にて持続可能かは誰も断言できることではないでしょう。

むしろ、現在のわが国の財政状況からすれば自己負担増への変更の可能性が高いと考える方が妥当です。(公的医療保険制度に変更がなくても財源確保の為、別のアプローチにより結局、自己負担が増える可能性もあります)

また、医療費の補填ばかりに焦点がいきがちですが、収入減・失業対策や支出増対策までを念頭に入れれば、断言することには憚れるはずです。

特に医療保険加入においては、健康状態などの影響を受けがちです。「医療保険に加入する必要はない」という言葉を信じて健康状態のいい時に加入せず、いざ心配になって加入しようと思っても加入できるとは限りません。『一般論として語るには、リスクが大きい』と言わざるを得ないでしょう。

これも保険でのリスクヘッジの基本を理解されていない、もしくは医療保険の給付について画一的にしかみれていないのが原因でしょう。医療保険の加入の仕方を工夫すれば、より保険でのリスクヘッジの基本に準じた長期入院のみを補填することも出来なくはないからです。

以上、今回はこれはというものからお話させて頂きましたが、勘違いのないように捕捉させて頂きます。

” 保険でのリスクヘッジの基本はどうであれ、実際の保険加入目的は人それぞれ”であります。今回お話した内容で加入されていても、間違っているとは言い切れません。リスクの捉え方や将来予測に対して、ある程度の基準はあっても万人向けの正解などありませんし、状況や条件、価値観等が違う方々に対する画一的な判断もないからです。

結局、ライフプランニングや将来予測等をもとに個別具体的に対応してご納得頂けるものを導き出すしかありません。(正解は結果論でしかないからです)(執筆者:小木曽 浩司)

《小木曽 浩司》
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執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

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