こんにちわ。前回の記事で、フリーターにも保険が必要? ということをお伝えしました。今回は、4大共済よりそれぞれ商品を1つずつ取り上げ、勤務先の社会保険に加入していないフリーターのうち、どういった方に向いているかを解説いたします。
なお、取り上げた商品以外にも選択肢はたくさんありますし、全ての方にぴったりというわけではありません。もちろん特定の商品をおすすめするものでもありません。目安としてご理解ください。
目次
4大共済とは
4大共済とは、
・全労済
・都道府県民共済
・CO-OP共済
をいいます。民間の生命保険会社や損害保険会社に類する商品を数多く取り扱っていますが、非営利事業という点で大きく異なります。
国内で営業する民間の保険会社には生命保険契約者保護機構、損害保険契約者保護機構といった契約者保護の組織、いわゆるセーフティーネットがありますが、共済にはありません。そのため、監督官庁による共済運営状況の監督のもと、個別の法律にそって運営されています。
非営利事業であること、助け合いという性格から長期的に安定した契約が得られやすく、法律による規制もあることから、共済の保有資産は積極的に運用する必要性も低く、おおむねハイリスク・ハイリターンの金融商品を避けて運用されています。
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全国共済農業協同組合連合会(JA共済)
4大共済のうち、もっとも民間の保険会社に近い商品を取りそろえているのがJA共済です。
他の3共済では組合員にならないと共済契約ができないため100~1,000円程度の出資金が必要ですが、JA共済では組合員にならなくても契約できます。唯一、農林水産省(他の3共済は厚生労働省)が共済の認可省庁です。
商品例:
すてっぷ(医療共済なしプラン)
お子さんの年齢が12歳になるまでに契約、18歳で掛け金を払い終わり、18歳より5年にわたって学資金を受け取れる子ども共済です。
ポイント:
払った保険料に対する学資金の割合を返戻率といいますが、保険会社の高返戻率の商品にそん色ない商品だと思います。
注意点:
お子様が18歳になった契約応答日から5年間毎年学資金を受け取るシステムなので、推薦入学や入学一時金など18歳になる前の支払いには、別の方法で備える必要があります。
全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
もともと労働者の福祉や助け合いとしてスタートした全労済。現在は民間の保険会社のような共済商品も増えていますが、地域の労働者を対象に作られた主力商品であるこくみん共済は、30年以上の歴史ある商品です。
個人的には、現在の労働者環境に即した商品開発をもっと進めて欲しいと感じています。
商品例:
医療安心H(ハーフ)タイプ
全く保険に入っておらず、入院した場合の医療費や食事代が心配、という方に、毎月1,150円の支払いで、入院1日につき3,000円、1回の手術につき3万円、先進医療特約つきという保障が得られます。
ポイント:
なんとかひねり出せそうな1,000円前後(割り戻し金を考慮後)の掛け金で、最低限の入院時の費用負担に備えられる点にあります。
注意点:
60歳以降は保障が小さくなります。60歳までに毎月数百円でも「将来の医療費貯金」を続けることをおすすめします。また、最初に100円以上の組合員出資が必要です。
全国生活協同組合連合会(県民共済、都民共済、道民共済、府民共済、全国共済(神奈川県))
全国39の都道府県で事業展開している全国生協連。入院、通院、後遺障害、死亡・重度障害の保障をセットした総合保障タイプは、各地域で同じ保障内容です。居住地または勤務先の都道府県の銀行や信用金庫、労働金庫などで申し込みができます。
ポイント:
パートナーのための死亡保障、入院時の費用への備え、がんと診断された時の一時金、先進医療、手術費用が月2,000円の掛け金で準備できます。また、事故による後遺障害についての保障は8~330万円と、同程度の掛け金の共済と比べて多めです。
注意点:
65歳の3月31日を迎えると保障がおよそ半減します。また、都道府県民共済の無い地域に引っ越した場合、契約が続けられないことがあります。最初に200円以上の組合員出資が必要です。
日本生活協同組合連合会(CO-OP共済)
サービス産業生産性協議会が実施し12月に発表するする日本版顧客満足度指数調査において、生命保険部門で2013年、2014年と2年連続第1位のコープ共済。消費者自身によって、自分たちのより豊かな生活のために運営している生協が、生活のバックアップを目的として共済事業を行っています。
入院や手術時の保障や死亡保障に加え、住宅が火災や風水害に遭った場合の見舞金程度の共済金がセットになった共済です。月170円をプラスすることで、他人の身体や物に損害を与えてしまった場合に備える個人賠償責任保険もつけられます。
ポイント:
毎月3,000円と少々痛い支出とはいえ、死亡保障や医療保障をいろいろ選ぶ手間がいらず、最低限の保障を1契約で準備できる点にあります。
注意点:
若い世代の方は、インターネット専用の保険商品の方が割安な保険料で契約できることがありますし、65歳以降も継続する場合は保障が小さくなります。また、最初に1,000円程度の組合員出資が必要です。
まとめ
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保険=安心では決してありません。万一のためにお金を払うくらいなら、預貯金を増やしたり、今日の食事をより栄養バランスの良いものにした方がよいという考えにも賛成です。
ただ、収入が不安定な中、風邪をひいてもお腹に激痛を抱えても病院に行かず、日払いや週払いのアルバイトを掛け持ちして頑張っているフリーターにとって、もしもの時でも最低限の保険がある、次の一歩が踏み出せるという精神衛生上の安心が必要であるとも思うのです。(執筆者:古川 みほ)