資産運用の最大の目的はリターン(利益)です。リターンが全くない商品に投資をしたいとは思いませんよね。
しかし、誰もが「リターン」を渇望するからこそ、心の隙を突く投資詐欺と心の隙を突かれる人が後を絶たないのです。
目次
この記事の結論
銀行預金以外に元本保証がある資産運用法、絶対に勝てる投資法はありません。心の隙を突かれないようにするために、資産運用に対する理解度と知識が重要です。
最近起きた実例から学ぶ
FX詐欺容疑
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2015年5月13日、愛知県警が中古車販売会社社長を逮捕しました。容疑は「FX詐欺容疑」です。
『県警によると、星野容疑者は昨年1月、実在するFXトレーダー「ミスターブレイン」の知人を名乗り、神奈川県南足柄市の会社役員女性(46)に「絶対に勝つやり方」「年間24パー(パーセント)は取れる」などとうその説明をし、運用資金名目で500万円をだまし取った疑いがある。』
(引用元:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH5F5GFPH5FOIPE01Z.html)
会社役員をするほどの方がなぜ500万円も騙されたのか? それは全くの不明ですが、「儲けたい」という心の渇望があり、そこを突かれたのだと思います。
会社社長が「絶対に勝つ」という言葉に加え、「年間24パーセント」という具体的な数字をあげるものだから、「500万円出資してもそれ以上のリターンを期待できる」と感じたのかもしれません。
少しでも資産運用をかじったことがある人なら、「絶対に勝つ」方法など存在せず、まして「年間24%」のリターンは夢物語に過ぎないことにすぐに気づくでしょう。
しかし、容疑者はFXトレーダー「ミスターブレイン」の実名を出し、「大儲けしているブレインさんがバックにいるので絶対勝てますよ」と暗示したのかもしれません。これは筆者の憶測に過ぎませんが、少なくとも会社役員女性の心の隙を突く甘い言葉だったと考えられます。
・リターン率が高い金融商品は疑ってかかれ
この2つの点を肝に銘じておきたいところです。
元本保証の外貨運用詐欺
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2015年6月26日、福岡県警は資産運用会社「日本ヴェリータ」の本店や関連会社を一斉に家宅捜査しました。容疑は元本保証の外貨運用詐欺です。
『捜査関係者によると、日本ヴェリータは、FX取引をうたい、「3年間、ユーロやドルで運用する」「(元本は)必ず全額お返しします」などとうその勧誘をし、九州の60代の女性などから金を集めた疑いがある。実際には資金を運用せず、他の客への配当や役員の給与に充てていたと県警はみている。』
(引用元:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH6V46XMH6VTIPE00Y.html)
同社は100人以上の顧客から少なくとも9億円を集めたと報道されていました。これがもし事実なら、1人あたり約900万円を資産運用のために資金を預けたことになります。みなさんお金持ってますね。
狙いうちにされたのが「60代の女性など」ということですが、なぜ60代女性なのでしょうか?
きっと、60代となれば年金や退職金などまとまったお金を持っていると同社は考えたのかもしれません。また、60代はすでに第2の人生を歩み始め、その後の生活資金への心配や不安が少なからずともあると思われます。その心の隙を突いたのでしょう。
しかし、ユーロやドルなどの外貨を3年運用したからといって、利益を得られる保証などどこにもありません。逆に、今後のドル相場やユーロ相場を考えると、リターンを狙うのがどれだけ難しいか。
また、外貨運用で元本保証をうたうのは、普通に考えたらあり得ません。あり得ないうたい文句に誘われてしまったのはなぜなのか? 筆者もぜひ知りたいです。
・元本保証への理解度(銀行預金以外に元本保証はない)
・資産運用は必ず大手企業を介して行なうこと
これらに関して少しでも知識があれば、大切な老後資金が「他の客への配当や役員の給与」に流れることはなかったのかもしれません。
最後にひとこと
元本保証がある資産運用はありません。強いていうなら、元本保証があるのは銀行預金と先日発行されたトヨタの「AA型種類株式」くらいで、外貨運用に元本保証はありません。
必ず勝てる資産運用法はありません。ないからこそ、多くの人がどうやって老後資金をまかなおうか必死で考えているのです。
「リターンを得たい」という考えは正常ですが、心の隙を突かれないように十分注意しましょう。(執筆者:堀 聖人)