「エンディングノート」「自分史」というと人生の終わり、終活、遺言、過去といった後ろ向きのイメージが強い。
しかしながら、過去から現在まで人生の喜怒哀楽を思い出し、頭の中を整理するプロセスを経由することで、未来に向かっての明日からの前向きな人生を考えることができる。
目次
1. エンディングノートはどんなもの?
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エンディングノートは 2011年秋公開の映画「エンディングノート」をきっかけに一般に広く知られるようになった。働き続けた熱血営業マン、67歳で退職し第二の人生を歩み始めた矢先にガン宣告。残された家族と自分の人生を総括するために”エンディングノート”を実行していくドキュメンタリー。
・遺書…故人が死後のことを考えて書いた手紙や文書。
・遺言…人が自分の死後に効力を生ぜしめる目的で一定の方式によってなす単独の意思表示。法律上その内容として、認知、相続人の廃除、相続分の指定、遺贈などが認められている。
・エンディングノート…自分の終末期や死後について,その方針などを書き留めておくノート。
どれも残された人に対して伝えたい事を記載するという共通点があるが、遺言(法律の世界では「いごん」と読む)だけが法的効力がある。
エンディングノート・自分史は自由に作成することができ、自分の人生で、過去、現在、未来についての自分の思いを整理しながら、これからの生き方を見直すことができる。自分の思いや内容の背景を伝えるメッセージにも使え、遺言作成のための下準備にも使える。
2. 「エンディングノート・自分史」を作成するメリット、注意点
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メリット
(1) 自分が重病や介護状態、亡くなった時、家族が困らない。
(2) 自分の日常生活備忘録として活用でき、自分が将来に向かって何をすべきか整理できる。To Do Listとして活用できる。
(3) 自分の思いや内容の背景を伝えるメッセージとすることができる。
注意点
(1) 機密性をどうするか? 自分の重要秘密を記載しているので人目につくところには置けない。
事故や災害に遭遇しても紛失した場合の対策は?
自分に万一の事が発生した場合、家族らがすぐ見ることができる。これらの制約をいかに対応するか? バランスの取り方が難しい。
(2) 記載内容でトラブルも心配されるので、どこまで自分の思いを記載するか?
自分の思いが正確に書ける? 周りを困らせる内容、人を傷つけそうな内容などは影響を考えて書かない配慮もすべき。
(3) 「エンディングノート・自分史」を書いていることは家族には話しておく。家族と話しあいながら書くのもいい。
3. 「エンディングノート・自分史」の書式・構成
書式は出版会社でやや異なり金融機関、会計事務所は財産中心に、葬儀会社では葬儀中心の傾向がある。無料配布のものや、書籍で販売しているものもある。
手書きは人のぬくもりがあっていいが、追加、訂正が簡単なワードやエクセルで作成するのもいい。インターネットやOfficeでダウンロードできるが、簡単なので自分でフォーマットを作成したい。
機密性などの対策で、パソコン内やクラウド上のメモリに保存するのもいい。最初から詳細に記載するのではなく、全体にざっくりと記入し、徐々に加筆していく。
次に見本として添付しているが、チェックリスト方式が記載項目に抜けがなくなるので参考にしてほしい。
<表紙 タイトル 氏名 作成月日 ○○年○月○日~○○年○月○日>
タイトルはひとめで内容が分るもので、自分らしさが出る言葉にしたい。
例、「結果は……いつも幸せ……私の人生」 「飛び込む勇気、いつも希望をもって」など。
<目次>
<自分史>
自分のこと、趣味、思い出や連絡先、自分年表、家系図、今後の予定など。写真もいれておく。
<医療介護>
告知の有無、延命治療の希望、介護の希望 、持病、病歴、任意後見契約の有無など。
<財産管理>
貸金庫の有無・生命保険・借入金・年金 財産の場所(不動産や動産)。
<相続>
遺産分割にあたっての希望、遺言書の有無、形見分けの希望。
<葬儀>
遺影を選ぶ、葬儀費用、葬儀の希望(戒名・喪主)葬儀場所、宗教、宗派、お墓や納骨等。
<家族へのメッセージ>
<人生の山谷グラフ>
以上。(執筆者:淺井 敏次)