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目次
解説
教育資金の贈与の非課税制度を利用すると、その贈与した財産の価額が相続時に特別受益の 持戻しの対象となるケースがあります。
1. 教育資金の贈与の非課税制度とは?
平成 31 年 3 月 31 日までに、30 歳未満の個人が教育資金にあてるため、金融機関等との一定の契約に基づき直系尊属から受け取った金銭等の価額のうち 1500 万円までの金額に相当する部分については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、贈与税の課税価格に算入されません。
2. 特別受益とは
共同相続人の中に、被相続人から生前に特別な贈与(「結婚資金」、「事業への援助」、「結婚し て買った家の資金」などのため)を受けた者があるときは、相続開始時の財産の価額にその贈与の価額を特別受益の対象として加えたものを相続財産とみなして、各相続人の相続分を計算します。
3. 教育資金の贈与が特別受益の対象になるとは?
祖父母から孫へ教育資金を贈与するという事は、本来教育費を負担すべき親の負担が軽くなる、つまり祖父母から親への援助がされたとも考えられます。もし、その援助額が、扶養の範囲を超えていれば、特別受益にあたると判断されることもあります。また、相続人 間において、援助額の差が著しい場合も特別受益に該当する場合があります。
要するに
教育資金の贈与の非課税制度を利用する際には、税金の問題とあわせて、特別受益についても検討する必要があります。後々、争いのもとにならないように、贈与を行う際には慎重に判断しましょう。(執筆者:小嶋 大志)