東証2部上場のアサヒ衛陶(5341)は10月15日、中国向けの「温水洗浄便座」を新発売するというニュースを発表しました。
中国向けの温水洗浄便座。この便座、中国人にどこまで受けるのでしょうか? 気になったので、ちょっと調べてみました。
目次
この記事の結論
中国国内対応の温水洗浄便座を販売するアサヒ衛陶(5341)。
1)中国人に温水洗浄便座が受けるかどうかは微妙
2)アサヒ衛陶、今期通期業績予想を下方修正
この2つの理由から、アサヒ衛陶株を買うのはオススメしません。
アサヒ衛陶(5341)が発売する中国人向け温水洗浄便座とは?
アサヒ衛陶が11月から販売するという温水洗浄便座の画像がアサヒ衛陶のホームページに掲載されていました。
日本国内の電圧と中国のそれでは異なり、中国の電圧は220V。つまり、日本で一般的に出回っている洗浄便座の電圧は日本国内仕様となっており、それを買って中国に持っていっても基本的には使用できないのです。
そこに目をつけたアサヒ衛陶は、中国国内の電圧220V対応の温水洗浄便座を開発し、販売開始を発表することができたというわけです。(販売価格は不明)
同社IR情報によると、「中国人観光客への販売と並行して、中国国内での輸出の販路も確定して」いて、なんでも「年間15,000台程度の販売を予定して」いるとのこと。
中国向けの温水洗浄便座ニュースリリースは10月15日。それに対し株価がわずかながら反応したのか、80円前後だった株が一時100円まで買われました。
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温水洗浄便座は中国人に受けるのか?
ただし、この温水洗浄便座が中国人に受けるのかは、未知の世界。中国と中国人は本当にこの便座を必要としているのか、いささか疑問を感じずにはいられません。
そこで、中国に出張中の友人に連絡し、「中国に温水洗浄便座の需要があるのか?」聞いてみました。
すると友人は2枚の写真を送ってくれました。
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この写真、ビルの中に入っている小企業事務所のトイレだそうです。便器が和式タイプというか中国式そのものです。このタイプのトイレに「温水洗浄便座」は取付けられないですよね…?
日本のトイレ事情とはどうやら大きな差がありそうです。そして、もう一枚の写真がコレです。
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これは、中級層の人の家のトイレだとか。上の写真とは違い、いわゆる洋式タイプの便座ですね。こういうトイレもあるんだと、ちょっとホッとした自分がいます。
このようなトイレがある家に住んでいる人であれば、もしかしたら「温水洗浄便座」が欲しいと思うのかもしれません。
ちなみに、今や日本を代表する観光名所「スカイツリー」約350m地点の展望デッキにあるトイレがこれです。
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先日取材のときに何気に撮ってきた一枚です。日本のトイレって綺麗ですね。便器だけでなく、床、壁、ドア、すべてに清潔感があります。
こういう環境であるなら「温水洗浄便座」を取り付けたいって思うのですが、上の中国のトイレを見て「ぜひ設置したい」って思わないのは私だけでしょうか?
ただし、中国人からすると感覚は少し違うのかもしれません。どのように考えているかはっきりは分かりませんが、日本をよく知る中国人は「日本は世界で一番きれい。日本人は世界で一番きれい好き」、と。
ある一種の「憧れ」のような想いがあるとも言っていました。
もし多くの中国人がそう感じているのだとしたら、清潔感 “世界一” の日本の便座が欲しいと思うのかもしれません。爆買いするほどお金が余っているようですし。
アサヒ衛陶(5341)の業績は?
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気になるのが、「温水洗浄便座」を販売するアサヒ衛陶の業績。実は中国国内対応の便座を発表したその日に、27年11月期通期業績予想を下方修正しました。簡単に言えば、今期は赤字になるとのこと。
来期以降の業績回復の手立てとして「温水洗浄便座」を筆頭に挙げているのですが、同じIR情報の最後には「(業績)予想には様々な不確定要素が内在しており、実際の業績はこれらの予想数値と異なる場合があります」と、自信の無さを吐露しています。(引用元:アサヒ衛陶HP 通期業績予想の修正に関するお知らせ)
温水洗浄便座が中国人に受けるか分からない上、販売元企業の業績不振。厳しいですが、今の段階でアサヒ衛陶株を買う気にはなりません。
さらに、現時点でアサヒ衛陶は配当予定なし、株主優待も設定されていません。参考までに。(執筆者:堀 聖人)