1. 塩漬け定期預金とは
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「塩漬け株」はよく聞きますが、「塩漬け定期預金」はあまり聞かない言葉です。
塩漬け株とは株価が買値より大幅に下落してしまい、売ると大きな損失が確定してしまうので、いつか株価が回復するだろうという淡い期待のもと長い期間放置してしまっている株式を言います。投下資金の有効活用などを考えずに、言わば思考が停止している状態です。
かつて、定期預金の金利が3%を超えている時代がありました。その頃に作った定期預金をそのまま自動継続を続けていると今では金利が0.03%程度になっています。かつての100分の1です。そこまでいかなくても定期預金を作った当時の金利の10分の1の金利になってしまっている方も多いと思います。
物価の下落を考えると実質的に損をしているわけではありませんし、すぐに現金として利用できる流動性や元本保証という点から資産の一定割合を定期預金とすることには一定の意味があります。
しかし、何も考えずに金融資産の全額を金利0.03%の定期預金に放置してしまっているとしたらそれは塩漬け定期預金です。定期預金に預けた段階で塩漬け株と同様に思考が止まってしまってはいないでしょうか。
2. 塩漬け定期預金の処置
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では塩漬け定期預金になってしまっていたらどのようにしたらよいでしょうか。
まずは金利が高い定期預金がないか探すことです。一部の地方銀行のインターネット支店などでは0.3%~0.4%の金利の定期預金があります。0.03%の10倍以上の金利です。銀行によって預入額、期間等の条件が異なりますので自分に適したものを選びましょう。
近い将来の決まった用途よりも多い金額の定期預金がある場合にはその余裕資金の一部を投資に充ててはいかがでしょうか。初めは値動きが気にならない程度、たとえば、金融資産総額の3~5%程度の金額を投資に振り向けましょう。
投資商品としてはまずは国内株式、海外株式、海外債権などのインデックスファンドがよいかと思います。インデックスファンドは購入手数料がかからないものが多く、信託報酬というランニングコストが低いものが多くなっています。
また、多くの銘柄に分散投資されていますので個別株式の倒産のような信用リスクは低くなっています。 さらに投資の勉強を重ねて高配当の株式、魅力的な株主優待のある株式などへの投資を検討してみてもよいでしょう。
一部に投資商品を組み込んだ、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを作れれば大部分が定期預金であったとしても、それは塩漬け定期預金ではありません。定期預金の自動継続だけという思考停止に陥らずに資産を増やす努力を続けていきましょう。(執筆者:犬山 忠宏)