11月6日(金)に発表された米雇用統計をうけ、米利上げ12月説は信憑性を増してきました。それをふまえ、今後の日経平均とドル円レートはどのように推移していくのか考えてみたいと思います。
目次
この記事の結論
順当にいけば12月に米利上げが実施され、日経平均は2万円越え、ドル円レートは125円を超えていくと思われます。しかし、米利上げが確実に実施されるためには、以下2つの条件をクリアしなければなりません。
1)中国をはじめとした新興国リスク
2)11月米雇用統計リスク
11月6日(金)発表の米雇用統計結果
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11月6日(金)発表の米雇用統計は以下の通りでした。
10月失業率:5.0%
この数値は市場予想を大きく上回ったもので、まさに “サプライズ”。結果、ドル円レートは121円台後半から一気に123円台へ跳ね上がりました。
執筆時点のドル円レートは、123.3円前後で推移しています。
順当にいけば日経平均は2万円越え、ドル円レートは125円を超える
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では、今後日経平均とドル円レートはどのように変動していくのでしょうか。順当にいけば日経平均は2万円越え、ドル円レートは125円を超えていくと思われます。
その根拠となるのが、12月利上げ予想にともなう米株高です。12月の米利上げ説が唱えられても米国株式市場上昇の動きがないと、日本株式市場が追随するのは難しくなります。
しかし、今回の「米利上げ12月説」の様子が今までと違うのは、利上げ説にともなう米株価上昇です。米国株式市場が米利上げ12月を本気で織り込み始めています。
また、ドル円レートが堅調なことも見逃せません。これまでの米雇用統計発表時にドル円は大きく反応するものの、たいていは元の値に戻すというのが “セオリー” でした。しかし、今回は違います。
雇用統計発表後、121円台後半から123円台に上昇し、今も123円台をキープ。今後の更なる上昇のための土台固めをしているかのようです。
利上げ説を織り込み始めた米株価と堅調なドル円レート。この動きに日経平均は追随していくと思われます。
11月9日(月)の日経平均終値は、前日比377.14円高の19642.74円。あと357.26円の上昇で2万円台回復となります。
もしかしたら、あっさり2万円台回復を達成するかもしれません。それくらいの勢いが感じられる日本市場の様相です。
今後のドル円レートは125円を超えていく
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ドル円レートに関してですが、当面は125円を目指す動きとなり、順当にいけば125円を超えていくと思われます。あるエコノミストは、米金利上げとなれば125~130円台のレンジ相場になる、と指摘しています。
それが現実となるかは些か不明ですが、一時的にしろ125円を超える、というのは妥当なレート予測でしょう。今はまだ123円台。もう少し伸び代がありますから、今のうちにドルを仕込んでおくのも悪くないのかと。
ただし、124~125円台に突入となれば、用心したいのが「黒田総裁の口先介入」です。124~125円が黒田日銀と日本経済の上限ラインとされているようです。前回もこのラインで黒田総裁の口先バズーカが発射され、ドル円が一気に円高に進みました。
もちろん公式な見解ではありませんが、124円台を超えていったときは黒田総裁のコメントに要注意です。
忘れていけないリスク要因
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12月に米利上げ、日経平均2万円、ドル円125円台突入、現実味を帯びてきましたが、忘れていけない2つのリスク要因があります。
これら2つを乗り越えることができたら、12月の米利上げ実現となるでしょう。
1)中国をはじめとした新興国リスク
9月に米利上げが先送りになった主な要因の一つは、中国バブル崩壊による金融市場の不安定要因です。
中国政府と中央銀行による緊急対策が施され、中国市場も再び安定を取り戻しつつあります。しかし、問題が完全に解決されたわけでなく、火種がまだまだくすぶっている状況です。
12月までの間にまた金融不安が生じると、12月米利上げの再延期になり兼ねません。中国をはじめとした新興国リスクには要注意です。
2)11月米雇用統計リスク
12月の初めに発表になる11月分の米雇用統計指標にも、引き続き注視しなければなりません。
今回の10月の米雇用統計がサプライズになったのは、市場の予想をはるかに超えた良い数値だったからです。楽天証券では、
と事前予想のコメントを出していました。このコメントは市場予想そのものであり、その予想よりはるかによい雇用統計だったからこそ、12月米利上げ説が現実のものとなりつつあるわけです。
要は、11月の米雇用統計が市場やFRBの予想を超えて悪化するようなことがあれば、米利上げが再延期となるかもしれないということです。その可能性は小さいとは言え、今回の逆パターンのサプライズが起きないとは誰にも分かりません。
12月の米利上げの可能性は80%、といったところでしょうか。参考になれば幸いです。(執筆者:堀 聖人)