国民年金や厚生年金(退職共済も含む)などの公的年金の受給開始時期は、現在、54歳の男性および49歳の女性から65歳以降になります。
つまり、昭和36年4月2日生まれ以降の男性(女性の場合は5年遅れ)からは60歳から65歳までの間、年金ゼロとなります。
問題は、この年金ゼロ期間における家計をどう乗り切るかです。
対策としては、再就職や雇用継続などで働き続ける、貯蓄、個人年金保険の加入、または株式・債券・投資信託等の資産運用をしてこの期間に備えるかです。
目次
公的年金の「繰上げ受給」という選択
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それでもまだ家計に不安ある場合は、65歳から受給できる国民年金(老齢基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金)を前倒しで受給できる繰上げ制度を利用する方法があります。
繰上げ受給のポイント
この制度は60歳から受給が可能で、繰上げ1か月につき0.5%減額された年金額が支給されます。年金額は最大(60か月)で70%掛けで受給されることになります。
ただ、繰上げにおける留意点は、一度請求すると二度と取消しができない、一生涯減額された年金額となる、障害年金はもらえない、老齢基礎年金の繰上げと遺族年金の重複受給はできない(65歳まで)、等々です。
繰上げ受給は、家計のセーフティーネットとしての役割があるものの、その選択をして後で後悔しないよう、家計を長期的に見た上で慎重に検討して決める必要があります。
公的年金の「繰下げ受給」という選択
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一方、「家計に余裕がある」又は/および「健康状態に自信がある」等の情況の場合、繰下げ受給という選択もあります。
繰下げ受給のポイント
こちらは、70歳まで受給を遅らせることが可能で、繰下げ1か月につき0.7%増額された年金が一生涯支給されます。年金額は最大(60か月)で142%掛けで受給されます。
繰下げにおける留意点は幾つかあります。
繰下げ請求は65歳から1年間はできませんので66歳の誕生日以降になります。又この間に障害年金や遺族年金を受給できる場合は、繰下げ請求できなくなります。
66歳の誕生日以降に「繰下げによる増額請求」又は「増額のない年金をさかのぼって受給」のいずれか一方を選択できます。
加算額の受給対象者において、繰下げ待機期間中(繰下げ受給を待っている期間)は、老齢厚生年金を繰下げ請求した場合、加給年金が、また老齢基礎年金を繰下げ請求した場合、振替加算が受給停止となります。
請求手続き
繰上げ請求の場合は、60歳~65歳前までに年金事務所に請求します。繰下げ請求の場合は、65歳の誕生日前までに年金機構から郵送されてくるハガキの「繰下げ」欄にしるしを付け返送することで請求手続きが終了します。
基礎年金と厚生年金のどちらか一方、または両方での選択も可能です。
尚、これらの受給要件や留意点などは全てを記載していません。より詳しい内容を確認する場合は、日本年金機構のHPや年金事務所等に問い合わせることをお勧めします。(執筆者:小林 仁志)