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FX取引を大きく分けると2つに分類することができます。
1)裁量取引
2)自動売買
裁量取引とは手動で新規・決済注文を行なうことで、それに対しシステムに売買を任せて取引することを自動売買と言います。
最近、自動売買の一種で「ループ・イフダン」がかなり人気を集めているようです。FX取引の新常識とも言われているループ・イフダンとはどんな自動売買なのでしょうか。その概要と注意点をお伝えします。
目次
この記事の結論
ループ・イフダンを採用しているのはアイネット証券とひまわり証券であり、ISホールディングスグループである外為オンラインとライブスター証券も似たような商品「iサイクル注文」を提供しています。
ループ・イフダンはレート変動を活用してコツコツと利益を上げていく自動売買注文です。上昇トレンドでも下降トレンドでも利益を得ることが可能ですが、値幅設定には十分注意しながら取引する必要があります。
ループ・イフダンとは
「ループ・イフダン」はアイネット証券の登録商品
初めに知っておきたいのは、「ループ・イフダン」という名称についてです。
ループ・イフダンに似たような取引はFX各社で取り扱われているのですが、ループ・イフダンはアイネット証券の登録商標です。つまり、アイネット証券独自の自動売買取引というわけですね。
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しかし、興味深いことにひまわり証券でも同じ名称でループ・イフダンが取扱われています。
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というのは、ループ・イフダンをアイネット証券がひまわり証券に提供しているからなんです。実はアイネット証券とひまわり証券の親会社は同じで、2証券会社ともISホールディングスグループの一員です。
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ISホールディングスは金融事業を中心に手掛ける企業です。最近では、カーシェアリング事業、ホテルや不動産事業にも進出し、アイネット証券やひまわり証券を含めグループ企業は15社に上ります。
そして、このISホールディングス傘下には外為オンラインやライブスター証券も入っています。この2社はとりわけFX業界で名を馳せる会社ですよね。
ただし、この2社ではループ・イフダンは取扱われておらず、iサイクル注文というループ・イフダンとほぼ同じ自動売買商品を提供しています。
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ISホールディングス傘下で外為オンラインとライブスター証券の2社が、なぜループ・イフダンではなくiサイクル注文という商品名にしているのかは分かりません。もしかしたらコンセプトや方向性が少し違うのかもしれません。
いずれにしろ自動売買商品としては極めて似た商品ですので、上述した4社の自動売買商品「ループ・イフダン」と「iサイクル注文」をひとまとまりとして考えて良いかと思います。
ただし、iサイクル注文は外為オンラインの登録商品であり、法律上ループ・イフダンとiサイクル注文は別物であること、iサイクル注文という商品を外為オンラインがライブスター証券に提供していること、念のため記載しておきます。
iサイクル注文を詳しく知りたい方はこちら⇒外為オンライン公式サイト
ループ・イフダンという自動売買取引の詳細
先に挙げたように、ループ・イフダンはアイネット証券の登録商品ですから、ここではアイネット証券のループ・イフダンとはどんな取引なのか説明したいと思います。
ループ・イフダンとは、一定の値幅ごとに買いと売りを繰り返す自動売買取引のことです。
為替レートが常に一定であることは99.9999%なく、常にレート変動が起きています。そのレート変動を活用した取引がループ・イフダンです。
イメージしやすいように、アイネット証券HPの画像をちょっとお借りしてきました。
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買いと売りの値幅を15銭と設定してあるとします。レートが99.85銭のときに新規で買い、レートが15銭上がったときに決済売り。レートがまた15銭下がると新規で買い、15銭上がったときに決済売り。この繰り返しでコツコツ利益を重ねていく手法がループ・イフダンです。
このケースではとりわけレンジ相場(一定の範囲内で為替レートが動くこと)に適している取引と言えます。
指定された値幅ごとに売買するのが特徴
上では99.85銭のときに新規買い、15銭上がった100円のときに決済として売るという一つの注文を見てみました。しかし、注文数は一つだけではありません。
基本的には「15銭幅ごとに新規買い注文」するという条件のもと行なう取引ですので、99.85銭からさらに15銭下がった場合、99.70円でも買い注文が入ります。そして、レートが99.85円になると自動決済で売られます。
レートが上昇し続けた場合も同様に、「15銭幅ごとに新規買い注文」が入り「15銭幅ごとに決済売り注文」が実行されます。
ここでは「15銭幅ごとに新規買い、15銭幅ごとに決済売り注文」の一例を見てみました。しかし、値幅設定は15銭だけではありません。
アイネット証券のループ・イフダンで取引した場合、9種類の設定値幅(15、20、25、40、40、80、100、120、150銭)から選択できます。しかし、値幅設定は取引対象通貨ペアによって違うので注意してください。
取引可能な通貨ペアは、ドル円、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円の4種類です。
ループ・イフダンの注意点
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ここからはループ・イフダンの注意点について見ていきます。
売り+値幅設定も可能
上では「買い+値幅設定」によるループ・イフダンを見てみましたが、注文は「新規買い」だけではなく「新規売り」も可能です。つまり、新規で売り注文後、指定値幅に達した時点で決済買い注文となります。
「売り+15銭幅」で注文を出したなら、15銭幅ごとに新規売り注文と決済買い注文を繰り返すということですね。
ちなみに、「新規売り」注文はレートが下降トレンドのときに有効で、逆に「新規買い」注文はレートが上昇トレンドのときに有効です。上昇トレンドのときに「新規売り」を始めると含み損がふくらむので十分な注意が必要です。
値幅設定が違うと同じレート変動でも損益に差が出る
値幅は最大9種類の中から任意で選択できますが、選択する値幅が違うと損益に差が出ることを覚えておいてください。
値幅設定が20銭の場合、レート変動が1円なら単純計算で5回の新規注文を入れることになります。一方で、値幅設定が100銭の場合は1回の注文しか入りません。
特にレート変動が激しいポンド円通貨で小さな変動幅を設定しておくと、大きなリターンを得られるチャンスがあるのと同時に損失の機会が大きいこともあります。要は、ハイリターン・ハイリスクな取引になるわけです。
自分の投資資金や選択通貨によって、適度な値幅設定をすることをおすすめします。
毎注文ごとに取引証拠金が必要になる
値幅設定をいっぱいすれば、その分利益獲得のチャンスが広がるのは間違いありません。しかし、毎注文ごとに取引証拠金が必要になることもお忘れなく。
1回の注文ごとに40,000円の取引証拠金が必要ならば、5回の注文で20万円の取引証拠金が必要になるということです。口座内に十分な額の入金があることが前提ですから、スムーズな取引をするためにも入金額に見合った注文が必要になります。(執筆者:堀 聖人)