
為替ディーラーが、2015年のドル円の流れを初心者の方にもわかりやすく振り返っていきます。
「2016年こそは投資デビューを」と考えている方は、2015年の流れをつかみ、ぜひ2016年の参考にして下さい。
そもそも、マーケットは上昇と下落という波動の動きを繰り返します。ですので、この波にうまく乗ることがなによりも大切です。そして、波に乗るためには以前の動きをしっかり押さえておくことが必須です。
では、見ていきましょう。
目次
2015年のドル円を振り返る
2015年のドル円の流れは、5つのステップで説明することが可能です。
見るのは週足。
平均足という手法を使って流れをわかりやすくしています。(はじめてチャートを見る方はギョっとするかもしれませんが、すぐ見慣れます)
(1) 1月 「ヨーロッパのゴタゴタ」でいきなり下落。
まず、年初はスイスショック(スイス中銀によるユーロとのペッグ制度変更)やギリシャの総選挙など、ヨーロッパのリスクがいきなり露見しました。
リスク回避ムードの中、ドル円は下落。
1月にいきなり2015年の最安値115.84円をつけました。
(2) 2月から6月 第1次「FRBの利上げ観測」によりドル円上昇!
その後、ギリシャ問題を引きずりながらも、FRB(米連邦準備理事会)による早期利上げの可能性が取りざたされると、ドル円は上昇。
アメリカ経済好転を期待したドル買いが進み、6月5日には最高値125.859円を記録しました。
ちなみにFRBが利上げをするということは、アメリカ経済が本格的に回復を遂げたというサインでもあります。
(一方の日本やヨーロッパはまだまだ追加緩和を模索している状態。)
(3) 7月から10月 「チャイナショック」でムードはリスク回避。一気に下落!
マーケットの期待とはうらはらに6月の米利上げは見送られました。
そして、6月後半から「チャイナショック」が勃発。上海総合指数が急落しました。さらに、7月にかけてはギリシャ問題もピークを迎えました。その後8月には中国が人民元切り下げを発表。
一気にマーケットはリスク回避ムードとなり、ドル円は8月24日に1ドル116.17円まで下げました。
(4) 11月 第2次「FRB利上げ観測」で再び上昇
その後レンジが続きましたが、10月後半にECB(欧州中央銀行)が追加緩和を示唆し、FRBが12月の利上げを示唆するとマーケットはドル買いが進み、123円台後半に上昇しました。
(5) 12月 「FRBの利上げが現実に」日銀の追加緩和「もどき」が下げ材料となる
12月16日にFRBがついに約9年半ぶりの利上げを決定するとドル円は上昇、続く18日に日銀が緩和策を発表すると一時123.52円まで上昇しましたが、それも束の間。
それが追加緩和ではなく追加緩和「もどき」であったことに対する失望から急反落しました。
2016年の展望は?

2016年のテーマは2つ。
日銀の追加緩和とアメリカの利上げサイクルの2点です。
16年にもまだまだ日銀が追加緩和(黒田バズーカ)をする可能性はあります。ドル円上昇の為には、2015年12月のような追加緩和「もどき」ではなく、しっかりとした内容であることがなにより大事。日本株メインで投資を考えている方はこの16年黒田バズーカでさらに大きく株価上昇の可能性があります。
そして、アメリカが利上げをする一方で、日本が追加緩和を行うような状態になれば、政策の違いが浮き彫りになり、ドル円はまだまだ上昇することが考えられます。
来年には日米で選挙も控えており、こういった政治ファクターがドル円の今後についてますます重要性を帯びてきます。
ドル円上昇の流れとなる材料はいくつかありますが、問題は「それが持続的なものなのか?」という点です。仮に追加緩和があったとしても「影響は限定的で16年は円高」という声も多く聞こえます。
普段テクニカル派の方も一年を通してドル円のファンダメンタルズを把握しておくことは有益です。そして流れができたら、それに逆らわずに乗ること。
2016年、アメリカと日本の経済政策にますますマーケットの注目が集まります。しっかりチェックしてマーケットに臨みましょう!(執筆者:国府 勇太)