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NHK朝イチでLGBTが1時間の特集に
「先日のNHK朝イチで、LGBTについての特集を1時間かけてやっていましたね」と教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさん。NHKによれば、「13人に1人がLGBT」。今やLGBTの社会的認知度は、急速に上がってきている。
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家庭には多彩な形態がある(ジョグジャカルタ第24原則 『家庭を築く権利』)。家庭で主に家事を担っている人は、みんな主婦。主婦は、いわば家庭の経営者なので、お金についての知識が少なすぎると、家庭が傾く原因になりかねない。
「当たり前の権利」が同性婚では守られていない現実
けれども、今、巷に出回っているお金の本は、「入籍していること」が大前提。その枠に入らない家庭のための、お金の情報は圧倒的に少ない。
「恋愛をして、大切な人と生活を共にしたいと考える。これは、相手が異性であろうと、同性であろうと、ごく普通のことです。けれども法律婚では当たり前のように守られている権利が、同性婚の場合は守られていない点も多いので注意が必要です」(竹下さん)
同性婚で知っておきたいこと
では、どんな点に注意が必要なのだろうか? ライフプランごとに、考えてみたい。
住宅ローン
現状では、二人の収入合算をして住宅ローンを組むことができないので、どちらか一人の単独名義で借り入れるしかない。当然、住宅ローン控除もどちらか一方しか受けることができない。
所有権のある方が先に亡くなった場合の住居問題
同性パートナーは法廷相続人として認められていないので、二人で築いた財産としての住まいであっても、財産として遺してもらえないばかりか、身内の人に出ていくように言われることも。
生命保険の死亡保険金受取人
保険金の受取人として指定範囲は、原則、「配偶者ならびに2親等以内の血族」。
ただ、2015年11月4日のライフネット生命を皮切りに、6社(2016年1月現在)が指定範囲を拡大し、異性間の事実婚に準じる「同性パートナー」を受取人に指定できるようになってきている。
社会保険の保障内容が薄い
どちらかが一方が生計を担っていた場合、たとえば事実婚であれば実態に基づいて遺族年金が出るが、同性の場合は「他人」という扱いなので保障が薄い。
相続税
法律婚では「配偶者控除」という税金の軽減措置がある。配偶者控除は、「配偶者は相続を受けても税金がかからない」言われるほど、大きい控除枠なので、これが受けられないのは痛い。
ライフプランに沿った専門家のアドバイス
現実はなかなか厳しいが、だからといって、「知らない」方が、もっと怖い。昨年、12月に、弁護士、税理士、社労士、FPが共同執筆した『事実婚・内縁 同性婚 二人のためのお金と法律 ~法律・税金・社会保険からライフプランまで~』(日本法令・税別1800円)という本が出た。
「ライフプランに沿った、お金の情報を集める」というのは、実はとても難しい。なぜなら、さまざまな分野に情報が分散しているからだ。こういった本を手掛かりにして、自分たちのライフプランに合った情報を集めていくということは、主婦にとって大切なことだ。
LGBTをとりまく法整備状況
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「お金のこと」と法律は密接な関係があるが、世界の現状はどういった方向に向かっているのだろうか?
ヨーロッパでは、1980年以降、多くの国が同性間のパートナーシップに関する法制度を整備している。アメリカでは、2015年6月26日、連邦最高裁が「同性婚は憲法上の権利であり、禁止することは憲法違反」という歴史的判決を下した。
日本では2015年11月から渋谷区が同性パートナーシップを尊重する条例を、世田谷区は要綱を開始した。2016年4月から伊賀市(三重県)、2016年6月から宝塚市(兵庫県)が、申請があった同性カップルに対しパートナーと認める証明書を交付する方針だ。
昨年、アメリカのフェイスブックでは、性別(ジェンダー)欄が50を超える選択肢の中から選べるようになった。本来、ジェンダーとは、それほどセンシティブに扱われるべき問題。さまざまなジェンダーの主婦がいる社会こそ、未来形なのではないだろうか?(執筆者:楢戸 ひかる)