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URの近居割って?
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国土交通省では、近くに住む親子世帯の家賃を軽減している都市再生機構(UR)の「近居割」を拡充しました。
新たに越して来る方の世帯の家賃を5年間5%割り引くサービスです。
以前より広い範囲の対象物件(近居割WIDE)が広くなり、片方の世帯がUR賃貸住宅でなく戸建てなどに住んでいても、近くのUR賃貸住宅に入る世帯の家賃を同様に引き下げています。最大5年間で20%割引されます。
「近居割」または「近居割WIDE」の対象UR物件は、北海道から九州まで1都、2府、1道、14県です。
親世帯はどちらかが60歳以上、子世帯は18歳未満(妊娠中含む)の子育て世帯、入居するには所得要件(4人世帯で約年収598万円以下)、新たに入居した方の家賃が最大20%、5年間割引されます。
両世帯が同日にUR賃貸住宅に近居入居の場合は、両世帯とも5%割引になります。他にU35割、子育て割、そのママ割、などもあります。
U35割は契約者が35歳以下で同居者が配偶者(年齢不問)または35歳以下の親族で利用できます。3年間の定期借家契約(更新はできません)です。営業店窓口またはインターネットで受付可能、先着順です。
子育て割は、18歳未満の子供(妊娠中含まず)が3人以上または小学校就学前で、所得要件は4人世帯なら年収900万円以下で入居できます。そのうち所得が年収530万円以下(4人世帯)、年収480万円以下(3人世帯)の人が最長6年間、家賃月20%減額されます(上限2万5000円)。
そのママ割は18歳未満(妊娠、孫、甥姪含む)の子育て世帯が3年間(定期借家契約)、20%家賃割り引きされます。営業店窓口のみで受付、先着順です。
UR賃貸住宅とは?
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UR賃貸住宅とは、都市住宅から受け継いだ公団住宅に国土交通省の都市再生機構が手を加えた住宅です。北海道から九州まで1都、2府、1道、23県に渡ります。
礼金、更新料、手数料、保証人不要の物件がそろっていて、入居は全て先着順なので、抽選で落ちることはありません。
インターネットで24時間空き情報を入手でき、申込みができる物権もあります。数ヶ月無料になったり、家賃一時払い(割引される)できたり、貯蓄の額で収入要件の緩和があったりするメリットがあります。
UR賃貸住宅だけじゃない、県営住宅も選択ありだが…
神奈川県の県営住宅は家賃は比較的安いのですが、保証人も必要、収入基準、抽選で入居が決まる点がURと異なります。子育て世帯住宅で倍率は3.1倍、高齢者単身世帯住宅の倍率は34倍と、平均倍率は7.7倍と厳しい戦いです。
所得要件(神奈川県)は一般賃貸住宅で年収約190万円以上、特定有料賃貸住宅では3人世帯で年収約462万円以上約1018万円以下です。2月の空き室情報はこちらです。
いくらくらいお得なのか? 近隣住宅との家賃差を確認
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例えば、神奈川県青葉区奈良町のURで2LDK52平方メートル駅から徒歩15分、
子育て割で家賃5万6600円の物件があります。
大手不動産会社HPでは家賃約7万4000円でした。
確かに割安感があります。
ですが、意外と家賃は変わらない? と思う物件もあるので、冷静にHPなどで場所や利便性、家賃などを比較してみましょう。
一定の条件を満たした世帯に、住宅費用を補助する自治体も
家賃が割引になるばかりが、住居費節約の方法ではありません。一定の条件を満たせば、家賃などを補助する自治体もあります。住みたい自治体のHPなどを確認してみましょう。
家賃優遇を行っている自治体の一部をご紹介します。
・板橋区では区立住宅で子育て世帯または新婚世帯に対し最大月4万円補助。
・豊島区は15歳以下の子育て世帯に月1万5000円補助。
・目黒区は1年以上居住で18歳未満子育て家庭に最大月2万円補。
・千代田区は親世帯と新婚子育て世帯近居で、最大月8万円助成(特に親が5年以上居住だと優遇)。
・北区では1年以上居住の子育て世帯が転居するときの費用を30万円まで補助。
・世田谷区では中堅向けファミリー住宅に入居の18歳未満子育て家庭に最大月4万円補助。
・品川区では親世帯との近居・同居で最大10万円相当のポイントがもらえ、品物と交換できる。
・神奈川県なら厚木市で母子家庭に最大月額1万円補助。
・鎌倉市で一人親家庭に月8000円補助。
・横須賀市では中3までの子供がいる世帯が一定の住宅を購入する場合、引越し代やリフォーム代などを補助。
・大分県豊後高田市では、移住希望者優先で月4.8万円補助、
・兵庫県洲本市では特定公共賃貸住宅に3ヶ月以上住んだ入居者に最大月3.6万円補助、
・新潟県小谷市では、55歳以下の民間住宅に定住する人に最大月2万円補助
両世帯、性格の相性、考え方など歩み寄れるか確認
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近居・同居の前に確認しておいた方がいいこともいくつかあります。
まず、近居・同居を検討する実父母や義父母との相性です。性格面、子育ての考え方、ライフスタイルの選び方、共働きへの感じ方など、です。
無事近居でUR賃貸住宅などに入ったとしても、実父母もしくは義父母との考え方が異なり、歩み寄るのに苦労しては大変です。
近居、同居の場合、お互いに「当てにしている」こともままあります。
「家の仕事の都合や学校の都合に合わせて、お父さんお母さん(義父さん義母さん)に協力をしていただければ」と期待する子育て世帯に、「これで自分の好きなことができて、好きなときに孫と会えるぞ」と期待する親世帯だとしたら…。
昼寝の時間に突然孫の家を訪れ、昼寝を中断させられ、お疲れ。それなのに、子育て世帯がお願いしたい時間帯には、父母(義父母)の趣味や仕事でいない…。
思ったほど助けてもらえないのに、気は使うことは多くどこかお疲れ。なのに、他の兄弟からは「親が近くにいるから楽してるでしょ」と言われ、万一の介護のときは全面的に当てにされてしまい、どこか割り切れない…。
悲観的のようですが、そういう展開も可能性ゼロではありません。
「家賃が安いだけでもお得」と割り切れるか確認
近居・同居を検討するには、両世帯の考え方や相性など、話し合いをすることや日頃のお付き合いから観察することが大切(同居は特に)ですが、実際双方の考え方などが異なるケースは、多いです。
事前に両世帯がどんなライフスタイルを望んでいるか話し合いが大切でしょう。
考え方などが異なる場合「お互いなるべく干渉しないで、自分たちのペースでやっていく」などのルールを両世帯で事前に決めておいたほうがいいかも知れません。
例えば、水臭いという意見が両世帯に多くなければ、子供の送り迎えや家で見てもらうとき、親を病院に連れて行くとき、介護するとき、つらそうなときに家事をするにはお互いお金をいくばくか(相場より安くても)支払う、などのルールです。
「家賃が安いことだけでもお得」と強く感じる気持ちが両世帯同じで、割引の割引の恩恵を受けられるなら、近居に踏み切る意味はありますので、検討してみてくださいね。
同じ世帯でも考え方が違う場合は、両世帯とも自宅での家事子育てなどに実際関わる時間が多い人の意見をより尊重した方がうまくいくのでしょうね。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)