日本では取得率が低いと言われる年次有給休暇。
ヨーロッパでは100%に近い取得率と言われていますが、日本ではまだまだ50%前後の取得、現実に有給で消化した日は約9日の調査結果が出ています。
企業規模が小さければ取得率も下がる傾向にありますが、職場によっても取得しやすいかどうか大きな違いがあるといわれています。
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目次
年次有給休暇はいつからどのくらいの期間とれるの?
法律では、
(2) 全労働日の8割以上出勤していること
を要件に、会社は継続・あるいは分割した10労働日の有給休暇を与えなければならないと規定しています。
それ以降は勤続期間が1年増えるごとに1日ずつ増え、2年6か月を越えてからは1年ごとに2日ずつ増加します。最高で20日取得できるとなっています。
また、週の労働時間が30時間未満・週の労働日数が4日以下または年間所定労働日数が216日以下のパートタイムの従業員でも有給休暇は取得でき、週の勤務日数に比例して与えられることになっています。
年次有給休暇は自由に取れるの?
このように上記の要件を満たせば従業員は有給休暇を取得でき、具体的にいつからいつまで休むか指定すれば、会社の承認は不要とされています。
もっとも、同じ時期に複数の従業員が休みを取ると、事業規模・時期によれば業務に支障が出かねないという場合があるでしょう。
そのため法律上も請求された時季に有給取得されると事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができるとされています。
とはいえ、単に繁忙期であるとか人員不足というだけで有給休暇の取得を拒否できません、年休を全員が消化しても大丈夫な人員配置をしても、一斉に複数の従業員がいなくなり対応困難、という場合に会社は時季を変更するように求められるのです。
このように、会社が従業員の有給休暇の取得希望に対して、時季を変えるよう求めるか検討するゆとりが必要なので、就業規則で取得の数日前にするよう定めることも可能です。
なお、有給休暇は継続した日数を取ることができます。
ただし1か月くらいの長期休暇になると、会社の業務計画や他の従業員の休暇の予定などと事前に調整を行う必要がでてきます。
そういった調整を経ずに長期での休暇を求めた場合は、会社としては時季を変えるよう求めるにあたって、ある程度裁量の幅が出てくることになるとされています。
有給休暇を年内に取得できなかったとき
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まず、
これについて法律上明確な定めはありませんが、厚生労働省の見解では繰越が認められています。
年休を求める権利は2年で時効にかかるとされていて、年休を求める権利は年度初めにまとめて発生するため、実際には1年分のみの繰越となります。
というご質問を受けることがあります。
会社があらかじめ年休の買い上げを予約し、その分の日数は年休取得を認めないというのは、まとまって自由な時間を取ることで労働から解放され、人間性を回復させようという年次有給休暇の趣旨に反するので認められていません。
結果として消化できなかった年休日数に応じ、手当を支給すると就業規則上定めることは可能ですが、先の年次有給休暇の趣旨からすると、きちんと消化できるようにするのが本来でしょう。
冒頭でお話したように、日本では有給休暇の取得率が低いこともあって、従業員に年5日の年次有給休暇を取得させるよう会社に義務付ける方向で労働基準法改正が進められていました。
平成28年4月からの予定が延期されていますが、こういった方策を取ることで、これまで有給休暇の取得が難しかった業種や規模の会社に勤める方にとってはメリットがあるといえるでしょう。
ただ、根本的に従業員の仕事内容や人数など環境を変えないと、かえって従業員の残業が多くなるなど負担が出てくることもありえます。
従業員としては、取得できる有給休暇は消化するようにするととともに、会社もそういった環境整備ができるように改善していく意識を持つことが必要でしょう。(執筆者:片島 由賀)