目次
今『余裕がある』からこそ陥る罠

20代は仕事で成果を出すことに集中し、自分の足場を作ってから結婚、女性の場合は出産、そして子育てしながら仕事復帰…、そのように計画的に結婚生活や子育て期間に突入している共働きパパ&ママも少なくないと思います。
人生の経験値があがり、キャパシティーが広がり、なおかつ経済的な余裕もあり、色々な部分において余裕を持てるのは30代以降から子育てを始めるメリットですね。
反面で、余裕があるからこそ陥りがちな罠が「教育費のかけ過ぎ」です。
今今で払えてしまう余裕があると、つい子供の教育にあれこれと投資してしまうものです。
しかし長期的視点で冷静に考えてみましょう。
特に30代後半、40代で出産している人は、よく考えて資産の分配をしておく必要があるのです。
子供の年齢ステージのどこでいくら使えるのかを踏まえて、計画的に資金を投入していかないと将来こんなはずじゃなかった、という事態になりかねません。
子供の教育資金の使いすぎに用心すべき3つの理由
理由(1) 子供の成長と、親の介護が重なるリスクがある
私自身の話ですが、数か月前に病気一つしたことのない健康そのものだった実母が大きな手術を受けました。
日頃から健康に気を配り、仕事に趣味にと60歳を超えても超がつくほど元気だと思っていた実母の思わぬ大病は、夫両親、自分の両親と4人分の介護問題が目の前まで迫ってきているのだと感じざるを得ませんでした。
仮に10年後に介護が必要な状態になったとすると、私の子供は中学生や高校生になっています。子供に一番お金のかかる時期です。
今の家計の状況が続けられるならば、なんとか子供自身の希望に沿った教育資金の投入ができそうですが、もしも介護離職や仕事のセーブが必要になったら…
そう考えると『その時』の教育と介護、それから自分たちの生活費それらの資金繰りをどうするのかを今から考えて備えておく必要があると強く感じました。
理由(2) 今の収入が維持・継続できる保証がない社会情勢
私たちの親世代が生きてきた「昭和モデル」はすでに崩壊しているといわれています。
企業においても、年功序列制度の廃止、成果主義の導入が続々とされています。
よほどの成果を上げ続ける人はともかく、一般的には昔のような昇給や昇格は難しくなってきているということです。
30代で係長600万円、40代で課長750万円…といった分かりやすい青写真が描きにくくなっています。
先行き不透明である以上、今が余裕あるから大丈夫といった甘めの見積もりや、子供を塾に行かせたいからといった親の感情優先にしてしまうと後々後悔することにもなりかねません。『教育資金は計画的に』ということです。
理由(3) 年金制度への不安に対するリスクヘッジが必要
年金支給年齢の引き上げ等、仕事のリタイヤ後のマネープランを考える時には不安材料が多くあります。
中には自分は確定拠出年金をしているから大丈夫、という人もいますが、大体の人はそれだけでは正直心もとないと感じているはず。
今の収入を現在進行形ですべて使い切ってしまうのは将来を考えたときにあまりに不安です。
将来の「老後貧困」を回避するためには積極的な資産運用をしていく必要もありそうですが、まずは今現在の収入について、教育資金と老後資金、この両者のバランスを慎重に見極めて配分していく必要があるのです。
30代後半、40代で親になった人は特に慎重に検討すべき

例えば37歳で親になった人ならば、子供が成人の時には57歳。大学卒業で59歳。大学院まで進み、子供がようやく自立するときには61歳です。
体が元気なうちは働いて収入を得ることはできても、それまでの年収には届かないという人がほとんどでしょう。
自営業や不労収入を得ている人は別として、普通のサラリーマンが子供にお金をつぎ込みすぎてしまうと、子育てが終わった後の自分たちの生活が立ち行かなくなるのは明白ですから、我が子かわいさで無条件に財布のひもを緩めてしまうのは注意が必要です。
各家庭の世帯収入と、将来の見通しによって我が子の教育にいくらかけられるかは異なります。
ご夫婦でよく話し合いライフプランを共有しておくことが老後貧困を回避する最も効果的な対策なのではないでしょうか。(執筆者:山内 理恵)