金融機関のような立場であれば多くの決算書を見る機会もありますが、経営者さんのほとんどは他社の決算書を見ることがあまりないかと思います。
そうすると、
「うちは売上から原価を差し引くと30%利益が出ているけど、他社はどのぐらいなのだろうか」
「自己資本比率が20%だけど、うちの業界平均はどれくらいなのかな」
と気になる経営者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
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無料で入手できる参考資料
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そのようなときは次の資料が参考になります。
財務省「法人企業統計」
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/index.htm
大企業から中小企業までを調査対象としていますが、平均すると資本金が1億円を超える比較的大きな企業が中心となっています。
日本政策金融公庫「小企業の経営指標」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html
日本政策金融公庫が融資をした先を指標化したもので、小規模企業が調査対象です。非常に細かく業種分類された数値が公表されています。
ここで注意して頂きたいのは、各業種とも「平均」と「黒字かつ自己資本プラス」の数値が記載されています。業績の悪い企業が多いためか平均で赤字ということもあるため、黒字かつ自己資本プラスのところと比較するようにしてください。
独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営自己診断システム」
http://k-sindan.smrj.go.jp/crd/servlet/diagnosis.CRD_0100
経営自己診断システムは、決算書の主要な数値を入力すると、業界基準値と比較して経営診断ができるようになっています。
業界の平均値は一般社団法人CRD協会が蓄積している中小企業の財務データを利用しています。
この協会は全国の信用保証協会が母体となって設立され、地域金融機関等が主な会員であることから、この経営自己診断システムは参考になると思います。
ぜひこれらを利用し同業他社と比較して、どこが優れているか、劣っているのかを確認してみましょう。
そのとき注意しなければならないことがあります。もし金融機関から融資が受けやすくなるようにと利益を調整している場合は、必ず本来の数字に戻してから利用するようにしてください。
平均より悪くても気にしすぎない
業界平均と比較して多少劣っていたからといって、「うちはダメな会社だ」と気にしすぎないようにしてください。なぜなら、会社規模や地域によって差が出るからです。
私たちは定期的に健康診断に行きますが、標準体重をオーバーして少し太り気味と医者から言われたら、食事制限や適度な運動をして改善していくでしょう。それと同じで現実を直視してこれから日々の経営を改善していけばいいのです。
ぜひ今後の経営のためにも参考にしてみてください。(執筆者:瀬野 正博)