車を運転していたら、セールの看板を持った子供たちが何かを売っているのを見つけました。
さて、あなたならどうしますか?
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別に、これ心理テストではありません。実は、先日小学3年生のわが子と友人がオーストラリアでやり始めたことなのです。
庭で一生懸命に掘った綺麗な(と本人たちは信じている)石を並べて、車で通る人に売ろうと思いついたわけです。
さて、いくらほどの売り上げになったと思いますか?
目次
日本との大きな違い
子供が一人で外を歩かない
オーストラリアは、比較的平和な国です。しかし日本と違って、小学生の子供が一人で家の外に遊びに出ることは、ほとんどありません。
学校は車で送り迎えをするのが一般的ですし、学校が徒歩圏内であっても、親が一緒に歩いて学校まで送っています。
たまに小学校高学年らしき子供が数人で自転車に乗って遊びに行くのを見かけますが、びっくりしてしまいます。子供数人ならまだしも、一人で歩いてなんかいたら、他人の子供ですら心配になったりするものです。
日本と違って、オーストラリアは車がないと生活しにくく、歩いている人の数が絶対的に少ないという点は大きいでしょう。人影が少ない中に子供が独りでいると、誰でも危ないなと思ってしまうものです。
子供が一人で留守番をしない
しかし外出だけでなく、留守番も子供一人でさせてはいけないのがオーストラリアです。NSW州に住んでいる時は14歳ぐらいまでは法律で禁止されているからと教えられました。
QLD州では何歳までというきちんとした決まりはないようですが、警官に質問したところ、「子供の年齢、一人にする時間、一人にしなければならない理由、が正当であればOK」だと言われました(少し曖昧ですが)。
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一人で買い物も危険?
私の経験談ですが、ショッピングセンターのスーパーで清算していた時に買い忘れたネギを思い出し、スーパーの真横にある八百屋さんに、ネギのおつかいを小学校1年生の息子に頼んだことがあります(賑わいのあるショッピングセンター内で真隣にある50mぐらいしか離れていないお店ですよ)。
日本人であれば、さほどビックリする行為ではないと思うのですが、支払いを済ませて八百屋に向かうと、なんとお巡りさんに連れられてくる息子の姿が…。
「一人で歩かせるには小さ過ぎる!」と私はこっぴどく叱られてしまいました。そんな環境ですから、子供たち同士で遊ぶ時間というものが、オーストラリアではとても貴重です。
大きめの石 約1,800円 小石 約450円で売る子供たち
前置きが大変長くなってしまいましたが、友人と遊ぶ時間がなかなか持てない子供たちですが、有り難いことに、隣に同年代の子供が引っ越してきて、長い夏休みにとても仲良くなりました。
毎日、朝から晩まで思う存分遊んでいました。ある日、小学3年生の二人が突然、庭で石を掘り始めたのです。大きいものから小さいものまで、頑張って掘ったらしく、町まで売りに行きたいとせがまれました。
前置きで説明したような事情があります。「二人では行かせられないし、付いて行くこともできない」ということを伝えると、二人は側道に石を並べて売ることを思いついたようです。
段ボールで看板らしきものを作って、テーブルに掘った石を並べて、売り始めました。チラリと覗いてみると、
小石がA$5(450円ぐらい)
と書いてあります。
私は思わず「高っ!」と声に出してしまいました。きっと数個ぐらいしか売れないだろうから、最後に私が記念に1個買ってあげよう。
でもA$20は高すぎるから、まけてもらおう! などと考えていたのです。
きっと、私の考え方は日本人からすれば、それほどズレたものではないでしょうし、むしろ多くの人に共感してもらえるのではないかと思うのですが、結果は全く私の予想に反するものでした。
子供たちがお店を出した道は、車道が広く車の通る数が少ないので、比較的にスピードが出てしまう通りなのですが、わざわざ車を止めて買ってくれる人の多いこと。
他にも
と映画のように、言った人もいたそうです。
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少し自分を反省しました。多くの日本人は、同じような状況にあると、まず「人生はそんなに甘くないんだよ」という教育的な方向へ子供を導こうとするのではないでしょうか? 子供だからと簡単に買ってあげるのは良くないという考え方です。
きっと、多くの日本人は買っても数百円ではないでしょうか。でもオーストラリア的には、きっと「子供のやる気を応援してあげよう」なのでしょう。
今、勇気を振り絞って道で石を売ろうと決断した子供を支えて盛り上げてあげようなのでしょう。
結局、なんとA$75(6,500円ぐらい)の儲けが出たそうです。なんて子供にやさしい国なんだろうと思いました。
どちらが良いかは賛否の分かれるところでしょうが、少なくとも息子には今回の経験が大きな自信のようなものに繋がった気がします。
私もいつか他人の子供が何かを売ってきたときには、気持ちよく買ってあげようというオーストラリア派に変わりました。
余談ですが、11歳の娘によると、BMWに乗っている人は横目で見て通り過ぎるだけで、オンボロ車に乗っている人はわざわざUターンして戻ってきてくれるんだそうです。何だか少しわかるような気がしませんか。(執筆者:松下 歩)