起業とその後の維持・発展に一番大事なことは、他店・他業種との差別化であると前回お伝えしました。
今回は飲食店における具体的な事例をいくつか紹介したいと思います。
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目次
【成功事例1】 神戸市北野の日本料理店
2010年6月にオープンされましたが、前菜の盛り合わせに工夫を凝らした日本料理のほか、高級食材であるすっぽんを比較的リーズナブルな価格で提供されています。
経理は調理師免許も取得している奥さんが担当し、板前のご主人は、季節の味わいが楽しめるお店を心がけておられ、今では予約が取りにくい繁盛店になっています。
オープン挨拶状の送付予定先が、ご夫婦ごとに大学ノート一杯に準備されていたのが印象的でした。
この事例における成功のカギは
2. 一等地からはやや離れた立地で家賃負担を軽減
3. 資金計画に無理がない(一部自家工事で割安)
4. 一定の予定顧客を持っていた
等のほかに、
5. 他店と料理の内容で差別化できるメニューを持っていた。
このことがオープン後数年を経ても、口コミ等で顧客を誘引できている理由です。
【成功事例2】神戸市長田のうどん店
2008年オープンの本格的讃岐うどん店で、カウンターを含め16席のこじんまりしたお店です。
開業当初は、商店街のはずれで立地に恵まれず、地元の友人知己も少なかったため集客で苦労をされたようです。
ですが、どんなに混んでいても注文を受けてからゆであげるという基本姿勢を変えない真摯な仕事ぶりと、こしのある麺の特徴から、今では昼時には行列ができるお店になっています。
【挫折事例】神戸市三ノ宮駅前の居酒屋
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次に挫折の事例です。
2014年秋オープンした居酒屋です。
店主は他店のアルバイト経験を経て、友人の勧めもあり開業を決意されました。
自己資金の準備は皆無であったため、開業資金の大半を借入で調達して、なんとかオープンはされました。
が、その後、友人知己来店一巡後はお客が一人もない日が続き、資金も枯渇したことと、今後安定的した集客が見込めないと判断して、半年後には閉店されました。
一定の経験と友人知己は多かったものの、有効な集客ツールをもたず、また他店と競合できるだけの差別化要因も持っていなかったため廃業を余儀なくされたケースです。
開業は勢いでできても、その後維持・発展ができるかどうかを判断するとき、他店・他業種との差別化要因を持っているかどうかを十分見極めることが重要といえます。(執筆者:遠藤 力)