海外旅行に行くとき、ぜひとも海外旅行傷害保険には加入しておきたいもの。
しかし、
「加入していたと思ったら加入していなかった」
という場合もあります。
そんな時、万が一海外で事故や病気に遭遇してしまったら、全額自己負担となってしまいますよね。
でも、あきらめるのはまだ早いです。
日本の公的保険に加入していれば、海外でかかった治療費を取り戻せる「海外療養費支給制度」を利用できる可能性があるのですから。
目次
海外療養費支給制度とは
2001年より健康保険法が改正されて、国民健康保険や社会保険などの公的保険に加入している人は、海外で治療を受けた際に日本国内の医療費と同じように保険給付が受けられるようになりました。
日本人からすると「海外の医療費は高い」と思ってしまいますが、日本の公的保険制度が世界的に見ても手厚いことの裏返しです。
日本国内で健康保険証を見せれば、かかった医療費の3割が自己負担分となりますが、海外での治療費はそうとも限りません。
最初は全額自己負担をして帰国後にしかるべき手続きを踏めば7割分が戻ってくる、そのようなシステムになっています。
海外療養費支給制度の流れ
では、海外療養費支給制度の流れとそれに必要な書類などについて、ここでは見ていきましょう。
2. 海外の医療機関で治療内容の証明書を書いてもらい、医療費の明細書を発行
3. 帰国後、公的保険に加入している市区町村の窓口へ行き、「療養費支給申請書」と2.で発行してもらった2つの書類を提出
4. 海外療養費支給決定通知書が送付
5. 市区町村から保険給付金が給付
という流れになっています。
海外療養費支給制度の利用に必要な書類
必要な書類は
・診療内容明細書(現地でもらう)
・領収明細書(現地でもらう)
・領収書の原本
・パスポートなどのコピー(渡航期間を証明するため)
・健康保険証
・世帯主名義の銀行口座
・世帯主名義の認印
となっております。
診療内容明細書、領収明細書には日本語の翻訳文をつけるのを忘れないようにしましょう。
注意点
海外療養費支給制度にも注意点があります。
まず、戻ってくる「7割」は「現地で支払った医療費の7割」ではなく、「同じ治療を日本で受けたと仮定した際に予想される費用の7割」です。
例えば、日本円で10万円の医療を現地で受けたとしても、その7割である7万円が給付されるわけではありません。
日本でその治療が5万円でできると判断されれば、その7割である3万5000円が給付されるのです。
また、最近では海外療養費の不正請求が増えていることから、政府が保険者に対して審査基準の強化を要請しており、書類をしっかりと揃えておかなければなりません。(執筆者:角野 達仁)