私は会社四季報や決算短信資料などの業績を通して投資判断をしています。
企業の本質的価値を調べ、それよりも過小評価されている会社を見つける手法をファンダメンタル分析と呼びますが、これを使って多くの企業を分析し保有してきました。
しかし、キャッシュフロー(以下CF)計算書については、ほとんど取り上げたことがありませんでした。
その理由ですが、年度末の決算短信しかCF計算書の記載がないことや、営業CF程度しかチェックしなかったということがあります。
しかし、CF計算書を読むことで企業のお金の流れと、今後の成長戦略を読むことができるという側面もあるため、今回はCF計算書について説明していきます。
CF計算書は、
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)
の3つに分けられます。
上記の画像はアークランドサービス(3085)の2015年度決算資料に添付されていたCF計算書になります。
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目次
1. 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)
まず一番上の営業CFですが、こちらは本業を行った結果、残った金額の増減、つまりいくら儲けたかを示します。
ここはプラスの会社を投資対象に選ぶべきです。
マイナスの場合、本業が儲かっていないということになり、立て直しが急務となります。
ちなみに同社の場合、前期18億5,500万円、今期は22億5,600万円のため増加しています。
2. 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
続いて投資CFについて。
この数字は将来の成長に必要となる設備投資や固定資産取得のお金の流れを示しています。
優良企業であれば通常はマイナスとなりますが、プラスの場合、固定資産や有価証券の売却などが考えられます。
3. 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)
3つ目の財務CFについて。
主に金融機関などからの借入れと返済に関する収支内容と、配当金支払いや自社株買いなど、株主還元に関する記載項目です。
以上、3つのCFについて簡単に説明しましたが、営業CFプラス、投資CFと財務CFはマイナスが理想的な形になります。
応用編
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3つのCFはそれぞれ独立した読み方をすると、上記に説明した判断ができますが、この数字を組み合わせることで企業が今後、どこにお金を使うか?
つまり、企業の成長戦略が見えてくるようになります。
具体的には営業CFと投資CFを足した数字、フリーCF(以下FCF)をチェックします。
FCFとは企業が自由に使える資金です。
過去に生み出したFCFが、
・ 株主還元
・ 財務体質の改善
など、どこにお金が使われたかをチェックしてみましょう。(執筆者:坂本 彰)