こんにちは。国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。
さて、この数年、市場の“価格変動性(ボラティリティ)”は高まりを見せています。
このような株式や債券市場の影響を受けない商品として登場したのが、「オルタナティブ・ファンド」です。
そこで今回は、前回同様、5年前から注目している「オルタナティブ・ファンド」が、その後、どのような運用状況となっているのか、検証してみたいと思います。
オルタナティブ・ファンドの運用状況
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この商品は、「Asset Based Lending」というものです。
簡単に言うと、「資産を裏付けとして、貸し付けやリースを行うファンド」ということができます。
この商品は、運用会社の厳しい“デューディリジェンス(精査)”やその“ノウハウ”が非常に重要な鍵を握っており、「絶対収益」を目指す「ローボラティリティ」タイプのファンドです。
同ファンドは、地方の商業・産業リースプロジェクトなど、多様なポートフォリオに投資を行う「資産ベース貸付向けのオルタナティブ・ファンド」となっています。
貸付はすべて、個人保証とリース顧客からの実質的な初回預入金に加え、資産を担保としており、また、リース契約発効前には、徹底的な「背景リサーチ」と「信用スコアリング」、「信用調査」などが実施されます。
5年前にご紹介したときの運用実績は、以下のようなものでした。
2010年 6.56%
2011年 5.81%
非常に安定した運用結果を出していましたが、しかし、あれから5年。
市場では様々な出来事がありました。
一体、実績はどう変化したのでしょうか?
運用が始まった2009年は、個人投資家を主な対象としたファンドで、資産残高も1億米ドルに満たないファンドでした。
現在は、機関投資家も増え、残高も3億米ドルを超えてきました。
さて、その後の年次の運用実績は、以下の通りとなっています。
2013年 6.11%
2014年 5.90%
2015年 5.43%
2016年(2月末) 0.90%
正直、私も驚きましたが、運用当初と変わらずに、引き続き安定した収益を上げることができています。
そして、この数年、株式、債券、商品市場が大きく変動を繰り返す中、これらと“相関性の異なる値動き”をしているのも大きな特徴です。
各指標との相関係数をみると、
S&P 500 Index 0.18
米国債10年 Index 0.34
と、相関性が低いことがわかります。
また、ファンドのブレ幅を示す「標準偏差」も、0.68%と非常に抑えられているのが特徴です。
その他ファンド概要は、以下をご覧ください。
運用開始日 2009年4月
投資通貨 米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、スイスフラン
購入手数料 なし
解約手数料 当初5%、1年経過後に1%低減、5年経過後は無
マネジメントフィー 1.25%
取引頻度 毎月(30日前解約通知あり)
「安定運用」や「絶対収益」を重視される投資家にはお勧めですが、「換金性」は高くないファンドですので、あくまで「ポートフォリオ」の一部で考えるファンドと言えるでしょう。(執筆者:荒川 雄一)