昨今の金利情勢を踏まえ、住宅ローンの借換を検討している方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンの借換を行った場合、住宅ローン控除を受けている方は少し気を付けるべきことがあります。
今回は、借換の是非を検討する上でも大切な住宅ローンの借換が住宅ローン控除に及ぼす影響について解説していきます。
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目次
借換後も住宅ローン控除を受けるための条件
借換後の住宅ローンも、一定の要件を満たすことにより借換前と同様に住宅ローン控除を受けることができます。その一定の要件とは次の2つです。
(2) 新しい住宅ローンが10年以上の償還期間であることなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること。
各金融機関で販売している借換用の住宅ローンの場合(1) についてはまず問題ありません。
一方(2) については返済期間を10年未満とすることができる金融機関が大半です。借換後の返済期間によっては控除を受けることができなくなってしまいます。
なお控除を受けることができる期間は借換を行なっても変更はありません。あくまで住宅を取得し、居住の用に供した日から10年間(取得年度によっては15年の場合も有)ということになります。
控除の対象となるローンの年末残高
住宅ローン控除はローンの年末残高に、一定の割合(取得年度や住宅の種類によって異なる)を乗じて控除金額を計算します。
借換を行った場合、この年末残高に一定の調整が入るようになります。
1. 借換の前後でローン残高に増減がない場合、あるいはローン残高が減少した場合
ローン残高をそのまま引き継いだ場合、あるいは手元余裕資金で一部返済をするなどによりローン残高が減少した場合は特に調整はありません。
借換後の新しい住宅ローンの年末残高が控除の対象となります。
2. 借換後にローン残高が増加した場合
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住宅ローンの借換を行う際、金融機関への手数料や保証会社への保証料、登記費用など様々な費用がかかります。
こういった費用のための資金を、借換前の住宅ローン残高にプラスして借換後の住宅ローンで借り入れることが可能です。
この場合借換後に住宅ローンの残高は増加します。借換後にローン残高が増加した場合、控除の対象となるローン残高に次にように調整が入ります。
控除対象ローン残高=C×A/B
B = 借換後の住宅ローンの借入時の金額
C = 借換後の住宅ローンの年末残高
トータルコストで借換をするかどうかの判断を
上述したように住宅ローンの借換には様々なコストが発生します。
また借入条件を満たすためにローンの一部を自己資金で返済する場合がありますが、住宅ローン控除の金額が減少してしまうという結果に繋がります。
住宅ローンの借換の是非を検討する場合、目先の金利ではなくトータルコストで判断することが大切です。(執筆者:高垣 英紀)
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