上場企業が株主に利益を還元する方法に「増配」と「自社株買い」があります。
増配は、株を保有していることで受け取れる配当金の額を増やすという発表なので、保有株数に応じて受け取れるお金も増えます。
例えば1,000株保有している企業が来年から5円増配しますと発表したら、年間1万円受け取り配当金が増える計算になります。
続いて自社株買いとは、企業にある株数を自社株買いにより減らすことで、1株の価値を上げる方法です。
現在1,000万株ある会社が、100万株の自社株買いを発表したら10%既存の株式価値が向上することを意味しています。
ちょっと考えてみました。
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目次
自社株買いについて
まず、短期的な株価変動幅では自社株買いのほうがあります。
2%の自社株買いでも翌日の株価は2%以上上昇するケースがほとんどです。
こうなる理由には需給関係のギャップによる影響もありますが、株数が減るということは、1株利益も向上する効果があります。
そのため割安度が高まり、自社株購入比率よりも高い株価に上昇するのです。
増配について
続いて増配についですが、自社株買いと比べて短期的な株価変動インパクトは小さいものの、増配を発表した企業は収益力の向上や持続性に自信があるのと、シグナル効果があります。
増配を発表した会社というのは、発表翌年以降も増配した配当金を据え置いたり、増配幅をさらに引き上げる場合も多く、長期的に利益をもたらしてくれます。
(自社株買いの場合、決まったタイミングはなく、単発的なケースがほとんどです。また、次の自社株買いを事前予想するのは難しい。)
1回のインパクトは小さくても、長期保有することで毎年恩恵を受け取れる事例も多いです。
そのため、増配は長期保有の投資家にとってお得なのです。
最後に注意点を
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それは、課税タイミングです。
自社株買いというのは、減らした株数に応じて税金が増えることはありません。
売却した時にのみ、利益に対して課税されるだけですが、増配の場合、配当金が届くたびに税金がかかります。
増配と自社株買いは、どちらも個人投資家にとって嬉しいニュースですし、株主還元策に積極的な企業という期待感から買われる株でもあります。(執筆者:坂本 彰)