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6月24日(金)、英国民投票の結果が開示され、EU離脱票が過半数を獲得。今後、イギリスはEU離脱へと歩むことになりました。
投票前は残留派が圧倒的に有利という電話調査の結果があり、英ポンド通貨は日本円に対し上昇する場面も見られましたが、蓋を開けてみると予想以上の接戦に。結果、僅かながら離脱票が残留票を上回ったのです。
市場と投資家の目線はすでに「離脱後」に向けられています。
今後、イギリスや私たち日本の経済はどのような影響を受けることになるのでしょうか? 今後の展開を予測してみたいと思います。
目次
EU離脱票が勝利 今後のイギリスと日本はどうなる?
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今回の国民投票結果を受けて、イギリスが自動的にEU離脱となるわけではありません
。イギリスはEU基本条約に基づきEUとの離脱交渉を開始することになりますが、交渉期間は2年と定められています。
ですから、イギリスがEU離脱に至るまで最低でも2年かかり、EU加盟国の全会一致に限り交渉期間の延長も可能です。
また、こういうことは人としてないと思いますが、残留派の現キャメロン首相が今回の国民投票結果を完全に無視し、EU残留を決めることも不可能ではありません。
ただし、すでに辞意を表明しているわけですから、その可能性は考えなくて良いと思いますが。以下、イギリスがEUを離脱するという前提で話を進めていきますね。
今後のイギリスの行方
簡単におさらいですが、そもそもイギリスがEU離脱と残留で国民投票をするに至った経緯には、難民問題が深く関係していました。というのも、イギリスがEUに加盟し多くの難民が流入していることで、2つの問題が生じていたのです。
2.難民流入で労働力が向上しているぞ!⇐残留派の主張
離脱派と残留派の意見が真っ向から対立し、結果としては難民受入れを拒否する離脱派が残留派を上回ったわけです。
また、EU加盟が故の雇用という恩恵にあずかっていたイギリスでしたが、離脱を選択したことで数百万人の雇用を失うことになると見られています。
つまり、イギリスのEU離脱による大きな問題は雇用という面に表れてくることでしょう。労働力が弱まるであろうイギリスの今後の発展と成長に大きな陰りがさすことになるのです。
その他EU加盟国への影響
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イギリスがEU離脱を決めるなら、他のEU加盟国への影響は必至です。
特に心配なのが、イギリスに追随してEU離脱を画策したいであろうアンチEU国。それには、オランダ、フィンランド、スウェーデンやデンマークが含まれていると言われています。
なぜアンチEU国が増えてきているのか。
それは、EU加盟国の中にも “貧富の差” があるからなんです。経済的に裕福なドイツやイギリスなどが貧乏国への支援を強いられるなら、自ずと不満がたまりますよね。
ですから、イギリスのEU離脱がEU崩壊へのきっかけとなる可能性が無きにしも非ず、といったところでしょうか。これは世界経済にも大きなリスクとなります。
日本経済への影響
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では、私たち日本の経済へはどんな影響があるでしょうか?
日本にとっての最大の危機は、円高圧力です。
イギリスのEU離脱が表面化するにつれ円高が進行したことから分かるように、世界の投資家たちが安全資産と言われている円を買っています。(実際は安全資産ではないのですが)
そうなれば更なる円高圧力が加えられ、日本の輸出企業は打撃を被ることになるでしょう。円高がどれほどの期間、どの程度続くかは不明ですが、日本経済へのマイナス要因になるのは間違いありません。
こんな時こそ、景気動向に関わらずコツコツ稼げる投資法を学び資産運用するのが賢明です。
期待したい各国の対応だが…
期待したいのが、日本を始めとした世界各国の対応です。
歴史上最大の変動率となったドル円相場。1日で7円も円高に急騰したとき、リアルタイムで為替チャートをみていましたが、正直興奮と不安が交錯しました。
「ドル売り」で値幅を取れる歴史上最高の機会となったわけですが、これが逆の立場でドル買いをしていたらと考えると…恐ろしい感情がこみ上げてきます。
いずれにしろ、金融市場は大混乱、パニック状態ですから、沈静化を図るためにG7に何らかの対処をしてもらいたいというのが本音です。
もしかしたら、協調介入でポンド買いという選択があるかもしれません。どのような施策が打たれるかは全くわかりませんが、今後のG7の対応に注目です。あまり期待はできませんが。
結局のところ、日本円が高くなり、ユーロやポンドが安くなって喜んでいる各国首脳がほとんど、という噂が根強いですから。かといって日本単独での市場介入は、ほとんど功を奏さないでしょう。
イギリスのEU離脱 まとめ
イギリスのEU離脱が国民投票で決まり、それが良かったのか悪かったのか、少し時間が経たないと分かりません。
しかし、EU離脱となればイギリス国内の法整備が行なわれ、経済や為替リスクへの処置も行なわれていくと思われます。
ここはひとつ冷静に。市場はパニック気味ですが、こういう時こそ淡々といきましょう。もがいてもイギリスEU離脱の事実は変わりませんから、投資家の私たちが変わるしかないのです。(執筆者:堀 聖人)