目次
1. 「成年後見人向け保険」誕生の背景
損害保険ジャパン日本興亜は、成年後見人が支援している高齢者、認知症や判断能力が低下した人が、他人にけがをさせた場合に発生する賠償責任を補償する「成年後見人向け保険」を販売開始した。
この保険が販売されることになった背景は、JR東海が電車にはねられた認知症男性の家庭に振替輸送費などの損害賠償を求めてきた裁判だ。
最高裁判所は家族の責任は認めなかったが、成年後見人が責任を問われる恐れがあるということで、成年後見人の団体からの要望をうけ販売となった。
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2. 成年後見人向け保険とは?
成年後見人は、被後見人(認知症患者など)に代わりに財産の管理などを行う。
今までは、後見人が被後見人にけがをさせた場合に補償する保険はあったが、被後見人が他人にケガをさせた場合などに補償される保険はなかったのだ。
しかし、今回取り上げた「成年後見人向け保険」は、被後見人が他人にけがをさせた場合に、1人あたり最大1億円を支払うというもので、保険料は年間で3,000円程度とのこと。
3. 成年後見人は成り手不足
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日本では成年後見制度を利用する人が、徐々に増え2014年末時点で、2013年末比5%増というデータがある。
しかし、後見人の成り手は、弁護士や司法書士などの専門職に偏っているのが実情。そこで日本政府は、本年4月の法改正により「市民後見人」の育成を促しているのだ。
成年後見人向け保険により、後見人になることへのリスクヘッジが進めば、成り手不足も解消されるのではないか。(執筆者:釜口 博)