「二世帯住宅に住む」と聞いたら何が思い浮かびますか? 何が思い浮かぶかは人それぞれ大きく違うのではないでしょうか?
長男であれば「両親も高齢になってきたことだし、そろそろ同居を考えるときか」などと思うかもしれませんし、その長男の嫁であれば「何があっても同居だけはいや」と思うかもしれません。
同居と一口に言ってもさまざまな形態があり、それによるメリット・デメリットもさまざまです。今回はそんな二世帯住宅のメリット・デメリットについてみていきましょう。
目次
二世帯住宅のメリットとは?
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二世帯住宅のメリットとしては大きく分けて下記の4つが挙げられます。
ひとつひとつ、見ていきましょう。
(1) 建設費の削減
親世帯・子世帯が互いの連帯保証人となり協力してローンを組むことで借り入れもしやすくなりますし、建設費そのものも削減できます。
玄関やキッチン・バスルームなど共用部分が多いほど光熱費の抑制につながるためエコの面でも効果的といえます。
(2) 光熱費の削減
例えば、へーベルハウスの二世帯住宅では、独自に開発した「二世帯住宅向けエネルギー・シェア・システム」というものがあります。
このシステムは、エネファーム(家庭用燃料電池)や太陽光発電で作り出した電気とお湯を、両世帯で融通して使用することで、エネルギー使用量をなんと最大10分の1にまでおさえることができるそうです!
(3) 家事や子育ての分担
共働きで子供のいる世帯にとっては、仕事で忙しいときに両親に家事や育児を助けてもらいやすいことが最大のメリットといえるかもしれません。
(4) 相続税の減額
さらには、相続時にもこんなメリットがあります。
かつては、完全分離型の住宅は「別居」と区分されていましたが、2014年の「小規模宅地等の特例」に関する法改正により、一定条件(被相続人名義の土地を被相続人と同居する子が相続し、相続税の申告期限まで居住と使用とを継続した場合)を満たせば330平方メートルの広さまで土地の評価額が80%も引き下げらるようになりました。
つまり1,000万円の土地であれば相続税が200万円になるということです。
これでかなりの節税効果が期待できますが、この法律を適用するには、区分登記をしない親または子の単独登記か出資割合に応じた共有登記にするなどの条件がありますので注意が必要です。
また2015年1月1日からは相続税の基礎控除額が引き下げられました。
今までは相続人が1人の場合5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)でしたが、今は3,000万円+(600万円×法定相続人数)になりました。
二世帯住宅のデメリットは?
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(1) 家族間のトラブル
一方二世帯住宅のデメリットといえばやはり嫁姑の確執……「渡る世間は鬼ばかり」さながらの攻防が今も全国で繰り広げられていることでしょう。マスオさん的二世帯住宅のほうがうまくいくでしょうね、やっぱり。
(2) 転売しにくい
1階が親世帯、2階が子世帯のような従来型の二世帯住宅では転売しづらいというデメリットもあります。
同居する子以外にも相続人がいる場合、完全独立型または同じ敷地内に別棟を建てたほうが親世帯の家を更地にして売却するにも、賃貸住宅として貸し出すにも対策がとりやすいでしょう。
(3) 相続トラブル
二世帯住宅は相続ならぬ、「争族」のはじまりと言われています。
両親のうちのどちらかが生きている内ならばまだ問題は起こりにくいですが、両親とも亡くなってしまった時は、もっとも相続争いが起こる可能性が高くなります。
なぜならば、その土地と建物がその両親の子供全員の共有財産になるからです。
仮に子供が3人いて、二世帯住宅に住んでいるのが一番上の長男だけの場合、この長男が住み続けている限り、下の兄弟姉妹たちは分割された遺産を受け取ることができないのです。
そうならないためにも、いったん土地・建物共に売却してしまった方が争いごとは起こりにくいでしょう。
二世帯住宅を建てる前に気をつけたいこと
二世帯住宅のデメリット二世帯住宅を建てる前には、まずは両親とよく話し合い、同居によって起こりうるさまざまなトラブルを想定した上で、親側と子側の意見を一致させることが大前提となります。
孫と一緒に暮らしたい親世帯と、共働きで子供の面倒をみてもらいたい子世帯の双方の希望や利便性が合致すれば最善です。子供にとってもおじいちゃんやおばあちゃんと暮らすことはプラスになる面も多いでしょう。
とはいえ両親の介護が発生した場合は、特に妻にとって大きな負担となることもあります。いざとなったら誰が親の面倒をみるのかは同居前にはっきり決めておかないと同居離婚なんてことにもなりかねません。
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外国の同居事情について
例えばイギリスの場合は一般的に個人主義なので親も子もそもそも「同居」は想定外。そのぶん老人ホームのほかにも高齢者用の住宅も充実しているようです。
夫の両親とは言っても世代も違えば育った環境も違う他人、よほど気の合う人でなければ同居は難しいと思います。たとえ毎月の光熱費が数千円高かろうと、相続で何百万も余計に払うことになろうと、平穏な心と平和な日常には変えられません。(執筆者:小野 雄吾)