今年初めにマイナス金利を導入し、ただでさえ低金利なところへさらなる低金利を招き、過去にない超低金利時代となりました。
住宅ローンなどを借りる方は別として、まとまった資産をお持ちの方で今の金利に不満な方にとっては、新しい運用先として注目されている外貨預金。その仕組みや、注意点などをご紹介します。

目次
そもそも外貨預金とは
外貨預金とは、日本の円を米ドルやユーロなどの外国の通貨に交換して、外貨で預金することです。基本的な仕組みは日本円で預金する場合と同じです。普通預金や定期預金があり、預けたお金には利息が付きます。
一般的には普通預金はお金の出し入れが自由、定期預金は原則として満期日前にお金の引き出しや中途解約ができないという点も、円預金と同じです。
外貨預金の仕組みは
外貨預金をする場合に、以下のような言葉を聞くことがあるかと思います。
・ TTS(預入時)⇒銀行が顧客に対して、外貨を売る(円を外貨にする)際に用いられる為替レートです。
・ TTB(満期時)⇒銀行が顧客に対して、外貨を買い取る(外貨を円にする)際に用いられる為替レートです。
例えば、米ドルに預金する場合に一般的に現在の為替レートが1ドル100円(TTM)とした場合、大手銀行の場合は1円の手数料を含んで101円(TTS)の換算で預入することになります。
満期を迎えたドル預金は、日本の金利よりも少し高い金利(1年定期で0.5~1.0%程度)が付きますが、為替レートが預入時と同じ1ドル100円とすれば、購入する場合と同様1円の手数料を支払って99円(TTB)で換算した金額を受け取ることになります。
もし円高で90円であれば89円、もし円安で110円であれば109円になります。
このように外貨預金には預入時と満期時、両方に手数料がかります(取引する銀行によって金額には大きな差があります)。そして為替の動向により受取額が大きく変動するリスクのある商品です。

外貨預金の注意点
(1) 預入時と満期時に手数料がかかる
お気づきの通り、外貨預金は日本よりも高い金利が魅力ですが、一方預入時も満期時も同じ1ドル100円とすれば外貨預金の仕組みにも記載の通り預入時1円と満期時1円ずつ、率にして約2%相当の手数料を払うことになります。
ということは受け取る利息に対する源泉徴収後で年2%程度の金利がなければ手数料が上回り元本割れとなります。
(2) 為替の変動で大きく損することも
外貨預金の注意点は手数料だけではなく、もっと大きな注意点は預入時と満期時の為替レートです。
外貨預金は、円高の時に預けて、円安の時に引き出すことができれば大きな利益を手にすることができます。逆の場合は大きな損失となります。
為替は今年の初めは1ドル118円前後でしたが、急激な円高で7月初旬は103円前後です。
今年初めにドル預金を始めた人は現在為替の為替レートでは約13%ほど損をしていることになり、金利は1年定期で0.5~1.0%程度ですので、その何倍もの損失になる可能性がありますので、この為替の動きをどう読むかが最重要です。
(3) 預金保険の対象外
日本円で国内の金融機関に預ける預金には、万一銀行が破綻して預金の払戻しができない場合、預金者を保護する「預金保険制度」がありますが、外貨預金は預金保険の対象外です。
(4) 金利が高い通貨は、為替変動も大きく為替手数料も高い
取引量が少なく高金利通貨は為替変動も大きく為替手数料も高いです。また、都市銀行よりもネットバンクのほうが為替手数料は圧倒的に安いという傾向があります。(執筆者:後藤 誠道)